お茶の時間 (2017 Octorber )
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My俳句手帖(復刻版)
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【2002年】 12
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☆ 夕方の塩尻駅を吹き抜けるぶどうの色の風かすかに甘い (富山市 松田 梨子)
☆ 秋暑し主なくせし古書の山 (所沢市 三浦 恭)
☆ 刺をつけ蛇不登というふ木ありてらてら赤い実を光らせて (熊谷市 内野 修)
☆ 柘榴の実庭の主は露人かも (広島市 谷口 一好)
☆ シューマンの〈トロイメライ〉の流れ来る牧は夕ぐれ干草にほふ (霧島市 久野 茂樹)
☆ 防人の山に露けき一碑あり (伊万里市 田中 南獄)
☆ ねえちゃんがファッション雑誌買ってきて家族全員驚いた秋 (富山市 松田 わこ)
☆ 幾筋の風の径にこぼれ萩 (西宮市 児山 綸子)
☆ デッキにて黄のマフラーを振るわたし離陸の窓に見えていますか (安曇野市 相沢 照子)
☆ 二時間に一本のバス落し水 (東京都 竹内 宗一郎)
☆ あきぞらに剪定ばさみの音かろく老いも若きも庭師は寡黙 (大分市 岩永 知子)
☆ 秋天を秋天らしく描く雲 (高松市 白根 純子)
☆ 身にあたる風がさやかな日日の来て赤耳亀は減食はじむ (川越市 小野 長辰)
☆ 稲妻の光も音も地の底へ (名古屋市 中野 ひろみ)
☆ どこへ行く乗り物なのかぶらんこは木陰で次の人待っている (長崎市 牧野 弘志)
☆ 釣果より秋の日差しを楽しみに (東京都 藤森 壮吉)
☆ 一万に満たぬ歩数を満たすため犬を連れ出し二度目の散歩 (三条市 滝沢 三枝子)
☆ 木箱より能面一つ秋扇 (静岡市 松村 史基)
☆ アボガドの寿司巡り来て爽と過ぎぬまた巡り来て淋しアボガド (小美玉市 津嶋 修)
☆ 初鴨に湖の光の新しく (鹿児島市 青野 迦葉)
☆ カーを見て自動車と訳した人にやっと時代が追いついてきた (大津市 佐々木 敦史)
☆ 無花果をマリアに供なふ津和野越え (廿日市市 和泉 忠伸)
☆ 木琴の音が乾いて秋が来るふるえているのは地球の鼓動 (神奈川県 九螺 ささら)
☆ 青き星松虫草を地に宿す (市原市 鈴木 南子)
☆ 裸体なる必然性を妻は問ふ風の止みたる湖岸の母子像
☆ 七草と知らば刈らずに野に置きし (兵庫県太子町 一寸木 詩郷)
☆ 公園に静脈瘤が多くなり幼児としよりつまずき転ぶ (桶川市 岩崎 實)
☆ 道違へ噂にまさる大花野 (奈良市 田村 英一)
☆ モロヘイヤ、オクラ、納豆、和布蕪混ぜねばねば食べてねばねば生きる (長野県 千葉 俊彦)
☆ コスモスを叩く風あり跳ね返す (東京都 望月 喜久代)
☆ コオロギがたった一匹で夜を通し鳴きて囚徒ら寝不足になり (アメリカ 郷 隼人)