詩と写真のコラボレーション (2006 February)
☆ ステーキの 三百グラム 春隣 (和泉市 白井 恭郎)
☆ 向き合える ビルの一つは 端正な相手を 歪め映して止まぬ (東京都 丸木 一麿)
☆ 至福とは 鯛焼を待つ しばしの間 (福島県 鈴木 紀秀)
☆ 投網打つ 舟の漂うたそがれは 漢詩添えたき 沼の顔なす (前橋市 大熊 津ネ夫)
☆ 薄氷に 石の音きく 女の子 (明石市 松下 源)
☆ 四不像に 会いにゆきたし 四不像は 春野に出でて 我を待つらん (八王子市 武藤 オキ)
☆ いつもひそかに 胸中の寒椿 (熊本県 坂田 美代子)
☆ 精神論で 愛を語るな スプーンでぷちんぷちんと 冬苺つぶす (米子市 植村 ゆかり)
☆ 馬子邸前に あがりし どんどかな (津市 なかやま いつき)
☆ 戦犯を祀る 日本の気が知れぬ ヒトラーを祀る国など 無きに (志摩市 九鬼 英夫)
☆ 水仙を活けて 潮騒 部屋に満つ (藤沢市 木村 みどり)
☆ 時計屋に てんでばらばらの時ながれ わが歳月は フィクションとなる (和泉市 長尾 幹也)
☆ 大寒の 真っ直中の 青き空 (深谷市 新井 章有)
☆ 梟がまん丸い目で 見守っている 一軒家 しんと冬の夜 (鳥取県 表 いさお)
☆ 知らんぷり 出来ぬ性格 濃紅梅 (神戸市 玉手 のり子)
☆ きょうもまた 役員数名うち揃い 陳謝する図が テレビに映る (東京都 池上 安則)
☆ 父の椅子 ありしところに 福寿草 (多摩市 吉野 佳一)
☆ 駅名も 汽車も 妖怪の 境線ホームに待つは 一つ目小僧 (境港市 濱田 国雄)
☆ 大寒や 百句送って 百句落つ (秦野市 熊坂 淑)
☆ 雪を忌む 挨拶交わし応対す 灯油業われの 本音をかくし (秋田市 渡部 栄子)
☆ 興じあふ 異国の子らも 福笑 (宝塚市 松井 由紀子)
☆ 運転免許 返上したる夫とゆく ローカル電車の旅に くつろぐ (佐賀県 山崎 つや子)
☆ 光るもの 光らぬものも 冬芽かな (群馬県 堀内 純子)
☆ いづらともいう いつうらとも云う 浦うらに 漁船抱ける 初春の海 (東京都 佐藤 佳子)
☆ 山古志の 色鮮やかな 寒の鯉 (藤井寺市 岡田 章)
☆ とれかけのパーマを 指でいじりつつ 少女ではない 十九の春 (加賀市 敷田 八千代)
☆ 寒紅や 母のこころを 受け継がん (大牟田市 古賀 昭子)
☆ 進化せし ロボット「アシモ」の 健気さは わけのわからぬ 涙をさそう (柏原市 芦田 恵美子)
◆ 『詩と写真のコラボレーション』 が 1100回 になりました。