詩と写真のコラボレーション (2008 September)
☆ 青年の如き 大空 九月かな (岩沼市 佐藤 久子)
☆ 女郎花、桔梗を挿せば 玄関の 瓶のめぐりに 秋は来にけり (福岡市 毛利 朋子)
☆ 揺れる穂に 須臾の安堵や 赤とんぼ (京都市 岸田 健)
☆ 腹這いに 天の底ゆく 世界新 プールの底より 泳ぎを見れば (佐世保市 草場 弘太郎)
☆ 大悲とは この朝顔の この青さ (青森市 藤田 智恵子)
☆ そそり立つ 岩壁と雪渓 ついに見る 雨雲切れし 一ノ倉沢 (八王子市 青木 直子)
☆ 廃屋に 曼珠沙華燃ゆ 帰らねば (横浜市 里中 和子)
☆ ベイジンの 千の花火の ひらくとき グルジアに 万の砲火炸裂す (ひたちなか市 篠原 克彦)
☆ コスモスが 揺れて空には 鰯かな (苫小牧市 小森山 憲次)
☆ 胃カメラを 呑んでいるとき 胃の壁を 取ると言われて NOと言えるか (横浜市 朝見 頼雄)
☆ 蘭たわわ 隈なく 月の光鳴る (シンガポール ハルツォーク洋子)
☆ 昨日見た やんまのせいで 群れてとぶ 朝のアカネが みな頼りなし (熊本市 高添美津雄)
☆ 少年は 夢果せしや 雲の峰 (生駒市 好川 忠延)
(台湾 日月湖) .
☆ 手に重き 乳房確かめ はつ夏の空に 真白き Tシャツを着る (佐世保市 近藤 福代)
☆ ただ回るだけの 水車や 鬼やんま (臼井市 酒井 康正)
☆ うす紅の世界を 単に「きれい」 とは言うまい きみと見てる 夕焼け (山形県 鈴木 より)
☆ 唐招提寺 金堂洗ふ 白雨かな (小金井市 上條 多恵)
☆ ふと思う 二十三年間 シャワーのみで 風呂など一度も 入ったことはない (アメリカ 郷 隼人)
☆ 流灯を 白寿の母の 送り出す (小郡市 白井 道義)
☆ お天気の 良い日の 気象予報士は 雀来ぬ日の 山田の案山子 (坂戸市 山崎 波浪)
☆ 空蝉や 不在にすらも なれぬ我 (東京都 本堂 春江)
☆ 性別のあること 時に煩わし あまつさえ 空の虹にも ありと (岡山市 秋山 素子)
☆ どんどんと 妖しくなりぬ 遠花火 (野洲市 鈴木 幸江)
☆ 手首にも 性感帯の ありまして ペアウォッチの いとこそばゆし (川越市 井 まみ)
☆ かそけきは 風か胡弓か 風の盆 (敦賀市 村中 聖火)
☆ 夕菅の 丘の木陰の 給餌場に 塩舐めに来る 阿蘇の赤牛 (大牟田市 鹿子生 憲二)
☆ 雷神は 古よりの 道辿る (日光市 渡辺 全朗)
☆ 夕闇を 山からそっと 引き連れて 梟ひとつ 舞い降りにけり (川崎市 新井 美千代)
☆ 太陽に 近くて涼し 山の家 (今治市 横田 青天子)
☆ 一本の 百日紅あり 花咲けば 森新しき 朝となりたり (高崎市 門倉 まさる)