詩と写真のコラボレーション (2006 March)
☆ 「ありエェなぁい」 あなたが言うと さもそれは アリエン星の遠いできごと (岩手県 田浦 将)
☆ 囀りの 始まってゐる 一樹かな (東京都 丹羽 ひろ子)
☆ 紅梅は女子のようで 白梅は背高く咲きて 爺様のよう (アメリカ 古田パーキンス和子)
☆ 僧達は 山伏姿 水送る (福井県 永谷 春水)
☆ スクリーンセイバーになりそうだなと テレビに見ている フィギュア荒川 (岡山市 宮田 義昭)
☆ 結局は 小さな土筆までも 摘む (飯塚市 千代田 景石)
☆ 人間の新品だもの 目がきれい 言えば 回りの中古が笑う (高崎市 須藤 章)
☆ 不意に会う 探梅行の 人の声 (神戸市 竹内 信子)
☆ 汝の生れて 幸得しなれば 婚の日に 恩など言うな 涙止まらぬ (つくば市 橋本 美知子)
☆ 花束のような 花菜を 湯に放つ (瀬戸内市 児山 たつ子)
☆ ダージリン・ティーに入れたる シロップの数だけ 弾む友との会話 (加賀市 敷田 八千代)
☆ 大昔 山にはなれず 梅の丘 (東京都 岡村 一道)
☆ 地の国の代表 土筆 蕗のとう 出れば囃すよ 薺 蒲公英 (大阪市 蔦 三郎)
☆ いぬふぐりには 容赦なき 三輪車 (香川県 三宅 久美子)
☆ 水仙を活ければ その香まっすぐに 闇の中より 我に向かい来 (武蔵野市 野口 由梨)
☆ 絵馬の鳴る 神田明神 受験どき (東京都 池田 喜夫)
☆ としどしを しだれ紅梅たのしみて 尊厳死カード 持つ身となれり (静岡市 長阪 馨子)
☆ 病む鶴に つき添ふ鶴も 引かざりし (八代市 橋野 信泉)
☆ 賽銭は貰っておくが 分っちょるやろな 自助こそ肝要なるを (大阪市 池知 ひさし)
☆ その日我 君を知らざり 貝合 (市原市 斉藤 圭子)
☆ 君がいるこころに ぽっと紅をさす そう この径の椿のような (半田市 安西 洋子)
☆ 白き指 撥ねゐて 恋の歌留多とり (松原市 出水 青陵)
☆ 思い出し ちっと舌打ち ビールでもがばっと飲んで ぱたっと寝るか (札幌市 多田 礼子)
☆ 巫女たちの 朝の体操 梅の花 (高槻市 日下 總一)
☆ 白鳥ら すうっすうっと集まりぬ なつっこき目の 不敵な野生 (山形県 佐藤 幹夫)
☆ その奥の 襖の奥の 古雛 (神戸市 竹内 信子)
☆ 雪積みし 兼六園の池に棲む 翡翠飛んで たまゆらの虹 (金沢市 松本 彰司)
☆ 室咲に モーツアルトの曲ばかり (山形県 小山田 恒吉)
☆ 犬連れて 歩む仲間が わが喜寿を祝い シクラメンの緋の花くるる (鎌倉市 正田 敬子)
☆ 氷点下三十度なる 富士立春 (かすみがうら市 坂本 光雄)
☆ ろうばいの枝を 受験の子に生ける 光の卵のような つぼみを (香川県 山地 千晶)