お茶の時間 (2011 August)



☆ 国難と いへども休め 夏休み        (横浜市 山本 裕)











  ☆ 夏雲や 応援席の 字が茹だる        (東京都 竹内 宗一郎)










☆ 禅僧の ごとくに 油蝉が啼き 野武士のごとく 熊蝉の啼く        (城陽市 山仲 勉)




















☆ 阿波踊り 稽古の囃子 夜半まで
        (徳島・松茂 橋本 すみ子)















☆ トマトには リコピンがある 私には リコちゃんがいる どっちも大事        (富山市 松田 わこ)










  ☆ 日本の 女は元気 炎天下        (鹿児島市 青野 優子)










☆ 全身を 君で満たした 器にし チャポチャポさせて 会いに行く午後        (和泉市 星田 美紀)



















☆ 風鈴や 浮世の風の 煩わし
        (愛媛・四国中央 玉沢 三楽)















☆ トロフィーを 掲げる数多の 腕の中 染めある爪に 翡翠色あり        (鳥取県 長谷川 和子)











  ☆ びっしりと 突起のつきし ゴーヤー生る        (徳島・阿波 稲井 ミヤ子)










☆ 阿波踊り やらせてくれて ありがとう 疲れたけれど 楽しかったよ ♪        (東京都 みぽりん)



















☆ 大いなる 山気濡らして 滝落つる
        (長野市 縣 展子)















☆ 朝早く 魚菜市場に 妻と来て 潮の香のする 海鞘を食いたり        (八戸市 山村 陽一)










  ☆ 雲の峰 牛の張り付く 大カール        (習志野市 早川 高士)










☆ 夏休み お昼ごはんは まるかじり 手抜きじゃないよ リクエストだよ        (東京都 ヒルネスキー・アキ)



















☆ 「ドル箱」も そのうち死語に なる恐れ
        (和泉市 岩本 進)















☆ 子をジャズの 虜としたる 訳なにか 調べつついま はまり込みたり        (静岡市 篠原 三郎)










  ☆ 我老いて 積乱雲のごと 自由        (三郷市 岡崎 正宏)










☆ なでしこが ドイツを制した 澤のパス ここしかないと いふところに通る        (西条市 亀井 克礼)





















☆ 手を振って 足を運べば 阿波踊り
        (徳島県 作者未詳)















☆ 夏木立 身じろぎもせず 君を待つ 我は一本の ブナになりたり        (桜井市 田村 美由紀)










  ☆ ひとすじの 道きはめたる 句碑涼し        (大牟田市 古賀 昭子)










☆ 選手として 違う境地に いるような 笑窪は深い クルム・伊達公子        (四街道市 佐相 倫子)


















☆ 確かめて 鞄の中の 扇かな
        (松戸市 高瀬 竟二)















☆ あのときは 負けたチームの 悔しさに 思い至らず はしゃぎし我ら        (大津市 櫻坂 佳子)










  ☆ 二駅も 三駅も続く 青田かな        (ひたちなか市 永田 昇)










☆ 気がつけば 被爆していた そんなこと あってしまった この国のいま        (福島市 美原 凍子)


















☆ 発音の 異なる英語 ビール酌む
        (シンガポール ハルツォーク洋子)















☆ 鳥の声 セミと一緒で 嬉しそう 森の中から 音がたくさん        (東京都 スイーツあかり)










  ☆ 自信といふ 言い訳ほどの 水着つけ        (国立市 太田 ひろのぶ)










☆ 春の海 白波立てて 帰り来ぬ 海の香載する 釣舟二艘        (徳島県石井 阿部 敏弘)