詩と写真のコラボレーション (2006 December)






☆ 野は冬へ 風に散るもの 急がせて     (久留米市 小川 順子)

















☆ 小春日に 宇宙塵さへ 楽しかり        (神戸市 安川 修司)

















☆ 主なき家の トタン屋根つらかろう 凍てつくまんま 雪つむまんま     (夕張市 美原 凍子)









 ☆ 日向ぼこ 三猿めきてゆく 匂い        (天童市 高橋 ゆり子)









☆ どの人も 急ぎ足なり十二月 電飾の街 雪催いにて        (山形市 長谷川 照庫)

















☆ 日の落ちて さらに明るき 紅葉かな      (立川市 越智 麦州)



















☆ 疾駆した 風の記憶を 身にまとい 中古オートバイ 店頭に並ぶ      (沼津市 森田 小夜子)









 ☆ 鯛焼の 鯛は恵比須の 釣りし鯛    (鶴ヶ島市 渡辺 隆)









☆ 昼休みの噴水広場に 男たち鳩にまじりて 羽根休めおり      (沼津市 森田 小夜子)

















☆ 山眠る 白川静 眠りけり      (新城市 山口 明紀)

















☆ 見てかあさん 見ててかあさん 自転車の子は声だけで 視線を手繰る     (逗子市 久家 雅子)









 ☆ 千の風渡りて 万の銀杏散る       (奈良市 古賀 しぐれ)









☆ 通る人を 柔和な目で見る 白き犬 四国霊場の 日だまりに伏し      (明石市 青木 佳子)

















☆ みちのくや 紅葉の山の 押しあえる     (久慈市 和城 弘志)

















☆ メールでは 素直な子となる長男へ やさしい母となり 返信す      (行橋市 木村 葉子)









 ☆ 醜草と もういふ莫れ 草紅葉      (泉大津市 多田羅 初美)









☆ シャーペンは 書いてるよりも 頬杖を突いてる時に よく折れるかな     (山口県 河島 渉)

















☆ 毬栗となりて 直撃してみたし       (福井市 白沙木 駿)

















☆ ひとり欠け そぞろ寒なる紅葉狩り 逝きにし人を 誰も語らず    (名古屋市 藤田 恭)









 ☆ ことのほか 明るき銀杏 黄葉かな     (奈良県 高尾山 昭)









☆ 木喰の 御仏達は 笑顔好し 苦き記憶を 預けて帰ろう      (東京都 狩集 祥子)

















☆ 鬼平の 一冊分の 夜長かな         (川西市 上村 敏夫)





















☆ 青丹よし 奈良の都は 降る雨に湿りて 紅葉黄葉鮮やか      (奈良県 山口 彰子)









 ☆ 吊り橋へ 目白押しとは 冷まじや      (豊橋市 河合 清)









☆ 去年より脚つよくなる 闘病記 おなじ山茶花 散り咲くも書く      (八王子市 相原 法則)

















☆ 一水を 染めて流るる 渓紅葉      (尼崎市 中村 芳子)

















☆ 黄落の一葉 静かに眠らせて 読みさしの本 華やぐことよ      (横浜市 金丸 忠重)









 ☆ 空が 地の切絵の如き 冬紅葉      (戸塚 義幸)









☆ 玉砂利を踏める背後に 空耳か 揃いし軍靴の音の 迫り来      (東京都 丸木 一麿)

















☆ 晴天に 噴煙なびく 山の秋        (大牟田市 古賀 昭子)





(浅間山 → )











☆ 秋祭と云えば どこでも寅さんが 紛れいそうな そんな気がする      (西海市 前田 一揆)