詩と写真のコラボレーション (2008 Octorber)
☆ 望遠と 広角のあひ 騎馬戦の 子を見失ふ ビデオカメラに (東京都 花 美月)
☆ いつ来ても 分け合う風や 萩芒 (立川市 越智 麦州)
☆ 誤りて クリックすれば こほろぎの 顔大写し われにはホラー (大阪市 末永 純三)
☆ 漢(オトコ)来て 空より奪ふ 山ぶだう (静岡県 折田 倫子)
☆ YOYOMAを 聴きてしみじみ 回顧する 〈懲罰棟〉 投獄一周年記念 (アメリカ 郷 隼人)
☆ 運動会 休み時間の 日の匂ひ (大阪市 竹内 宗一郎)
☆ 硝子でも プラスチックでも 魔法でも この美しき 柘榴はつくれぬ (越谷市 黒田 祐花)
☆ 潔く 弾けし毬の 栗三粒 (尾張旭市 伊藤 益臣)
☆ ごめんねと ありがとうくらい 言ってよね 夫婦仲良く 暮らしたいのよ (さいたま市 菱沼 真紀子)
☆ 心すぐ 揺らいでしまふ ねこじゃらし (町田市 大野 由香)
☆ カザルスの 「鳥の歌」聴く 結局は もとの一人に なってしまった (坂戸市 山崎 波浪)
☆ 歩いたり 駆けたり 風とコスモスと (茨木市 瀬戸 順治)
☆ 稲雀 案山子 野佛 赤とんぼ ふるさと久し 秋の空澄む (上尾市 村山 徳英)
☆ 北限の 日のいっぱいに 柿熟るる (南相馬市 山崎 秀夫)
☆ 現し身を つるみて重き 糸とんぼ 重きを乗せて 水草撓む (広島県 宮本 悠三)
☆ 踊笠 深くかむりて 輪の中へ (東京都 古谷 力)
☆ 青葉梟の 親子は 移動したという 雨降る社の 古木見上げる (調布市 長山 弘)
☆ 色づきて ここに我あり 実むらさき (伊丹市 保理江 順子)
☆ 夜の堀の 灯影に遊ぶ 鯉の群れ 眠らぬ街の 一員となる (沼津市 森田 小夜子)
☆ 山国や 酒に酒注ぐ 星月夜 (長岡市 内山 秀隆)
☆ 新米の ほのかな甘み 愉しめど 手刈り稲架(ホサ)干しの かの味いとおし (出雲市 西村 洋子)
☆ 山寺や 余韻嫋々 鐘の秋 (長岡市 内藤 孝)
☆ 富士山に 三十二回も 登頂して 今年はゴミを 拾って下山す (沼津市 岩城 英雄)
☆ 露草や 槍呑み取りし 武士旧居 (福岡市 伊佐 利子)
☆ 筋、鰯、羊、入道 洗はれし秋空に 雲の見本市立つ (可児市 前川 泰信)
☆ 曼珠沙華 一糸まとわぬ ゴヤのマハ (豊橋市 河合 清)
☆ そば畑の 花原の辺に 雉子が鳴き 秋虫あまた 戸隠の里 (伊那市 小林 勝幸)
☆ コスモスを 相手に シャドーボクシング (栃木県 あらゐ ひとし)
☆ 始祖鳥の 鳴けばかくやの 濁声に 青鷺飛べり われの頭上を (赤穂市 堀 百合子)
☆ 夏惜しむ いづれの校歌も 山河あり (横浜市 原 徹)
☆ ニュース観て 芯より疲れ 目瞑れば 萩が咲いたと 妻の声する (茅ヶ崎市 相沢 孝七)