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【2017年】
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☆ 大山の胸乳にまける春の雲 （山口市 弘津 敦子）☆ 合格の発表の日の約束のショートケーキのいちごが甘い （富山市 松田 わこ）
☆ 地に咲きしばかりの気息落椿 （大阪市 大川 隆夫）
☆ 国会は虚ろな世界に変わりしか事実に拠らず記憶で答える （埼玉県 島村 久夫）
☆ 白木蓮拳開きて光受く （西宮市 竹田 賢治）☆ 走りたいと縦に書かれているような顔のぞきたり春の厩舎に （長野市 原田 りえ子）
☆ 雨とても沈丁の香の濃き主張 （荒尾市 鶴田 幾美）
☆ いつもよりながくてすこしきつかったそつえんのひのせいせいのだっこ （奈良市 山ぞえ 葵）
☆ 始発駅終着駅に燕の巣 （八王子市 大串 若竹）☆ 中庭のロープが解かれ心臓と一緒にさがす受験番号 （富山市 松田 わこ）
☆ 早蕨や優しき人は裏切らず （高岡市 野尻 清彦）
☆ マスターもコーヒーの香も変わらないタイムスリップしたような店 （八幡浜市 大下 まゆみ）
☆ 褌に神の御加護や春祭 （岡崎市 高橋 昌也）☆ 鍵盤も楽譜も今は眠ってる受験の私見守るように （富山市 松田 わこ）
☆ 一天の青より落ちて来る雲雀 （神戸市 池田 雅かず）
☆ べた凪の弥生の湾を裁ち進むエイトの長櫂見事に揃う （舞鶴市 吉富 憲治）
☆ 凡人の自覚まだなし葱坊主 （川越市 渡邉 隆）☆ 漁師らは小さな春をじっと待ち四つ手網よりイサザをすくう （石川県 瀧上 浩幸）
☆ クロッカス大地の鼓動発進す （福山市 広川 良子）
☆ 白鳥を十羽発たしめ貯水池は重任果たししごとく鎮もる （下野市 若島 安子）
☆ 手にすれば壊れさうなる雀の巣 （神戸市 岸下 庄二）☆ イケメンで性格よくて浮気せぬ金持ち募集の絵馬にたじろぐ （仙台市 沼沢 修）
☆ 古希になる我たんぽぽのごと自由 （三郷市 岡崎 正宏）
☆ 辛子和えのつもりで買いし菜の花は居間で春待つなのはなとなる （東京都 松本 知子）
☆ 山古志の棚田の景や残る雪 （長岡市 桑原 たかよし）☆ 赤ちゃんが宙を見つめて舌を出す空気の味見しているように （四街道市 中村 登紀子）
☆ トランプは八方破れポップコーン （三郷市 岡崎 正宏）
☆ 園児らが教育勅語を諳んずる戦前ですらなかりし異景 （名古屋市 諏訪 兼位）
☆ フクシマの桜哀しも原発禍 （横浜市 穴沢 秋彦）『手をつなぐ』
手をつなごうよ 手をつなごう 差し出した手
傷ついたまま そのまま
手をつなごうよ 手をつなごう
あのとき 振りほどいたのは わたしだけれど…
あのとき 気づこうとしないのは あなただった
偶然は 必然に
必然は 偶然に
幸運という女神をつれて
も一度 手をつなごう
（片山和恵）
