詩と写真のコラボレーション (2010 May)









☆ 細胞の 色が変わって ゆくような KISSした瞬間 わたしカメレオン        (川西市 市森 晴絵)










  ☆ 吹き抜けの 大青空や 鯉のぼり        (熊本市 鬼塚 阿窓)










☆ 椎の花 かぶる羅漢は 苔むして 苦悶の顔で 空を仰げり        (下関市 福昌 一迪)



















☆ しあわせが 底をついたら シャボン玉         (平塚市 日下 光代)



















☆ ここまでは もう登れまい 白神の 残る雪面に ぶなの根開き         (新発田市 難波 勝平)










  ☆ 点灯せば 灯の色となり 白牡丹        (芦屋市 小杉 伸一路)










☆ 卯の花を 揺らす機関車 現れて 過ぎてゆきしか 廃線の跡        (鹿児島県 篠原 廣己)



















☆ なほ奥へ 奥へと伸ばす歩 山桜        (倉敷市 舟津 浩子)



















☆ 「内地の人」と 不意に言われて 慌てたり 屋根のシーサーの 鎮まる夕べ        (東京都 狩集 祥子)










  ☆ 日が磨き 雨が洗ってゐる 新樹        (高松市 桑内  繭)










☆ 一年も ハローワークに 通い継ぐ 火星より求人 なきかと思う        (新潟市 丸山 一)



















☆ むらさきの 風を育てて 諸葛菜        (田川市 山田 千恵女)



















☆ ベランダの ふた鉢の薔薇 年ごとに 小さくなりぬ 亡き妻の薔薇         (千葉市 田口 英三)










  ☆ 吾も芽なり 明るき方へと 手を伸ばす        (東京都 太田 美幸)










☆ 座る位置で 心の距離が わかっちゃう 心理学など 取るんじゃなかった        (東京都 上田 結香)



















☆ 散る心 秘めたる花の 雨であり        (宮若市 菅井 久美子)



















☆ 下叢に 淡き光の 射すところ 射干(シャガ)咲き続く 森の中心へ        (横浜市 水口 信静)










  ☆ ぶらんこの 人を降ろして 重くなり        (岐阜県笠松市 武仲 敏治)










☆ 魚市場に 本採用に なりし子に 世界の海を 語る父親        (宇部市 福重 照子)



















☆ 散る花に 見頃といふも ありにけり        (大津市 日下部 良子)



















☆ 花道を 勝ちて入りゆく 把瑠都関の 肌は桜に 匂ひたちたり        (西宮市 澤潟 和子)










  ☆ 連峰の 雪仰ぎ見て 五月病         (青森県平内町 佐々木 民生)










☆ 奪われし者と 奪いし者 ありて 乳房の尖りの なき女神たち        (ドイツ 西田リーバウ望東子)



















☆ 若草や 鹿の国なる 厳島        (伊万里市 萩原 豊彦)



















☆ 電話機の 5の番号に 突起ある 意味を知りしは 目の手術あと        (坂戸市 山崎 波浪)










  ☆ ツチフるや 不況の最中 結婚す        (下田市 森本 幸平)










☆ 建設中の 三百メートルの 搭の上に クレーン操る 人を思えり        (東京都 豊 英二)



















☆ 深刻さ 苦さ青春 夏蜜柑        (秩父市 浅賀 信太郎)



















☆ 戻れない 道のかなたに 一本の 白樺の木と 風の棲む家        (福島市 美原 凍子)










  ☆ 昨日見て 今日見て 明日の桜かな        (茨木市 瀬戸 順治)










☆ アナログと テレビ画面に 表示あり 地デジ買わぬと 非国民みたい        (阿南市 西田 晴彦)