詩と写真のコラボレーション (2010 January)









☆ 大公孫樹 葉を落としをり 本堂の 大屋根修理 続けられをり        (熊谷市 内野 修)



















☆ 脳に似て 嫌いな野菜 ブロッコリー        (前橋市 荻原 葉月)



















☆ 二羽の鳩 三日つづけて 訪ね来て 四日目からは 巣を作りおり        (町田市 高梨 守道)










  ☆ 雪吊の ハープを弾けり 雪女        (洲本市 高田 路)










☆ 母逝きて 育ちし家も 壊されて 日本は 「帰る」 から 「行く」 国になる        (アメリカ 大竹 幾久子)



















☆ まっすぐに 心中に射す 冬日かな        (合志市 坂田 美代子)



















☆ 水仙の 花一りんが 出来ました えんちょう保育で 折紙をして        (横浜市 高橋 理沙子)










  ☆ 山寺の 魚板の凹み 冬鴉        (仙台市 清水 治男)










☆ 年輪を 一つ重ねて 散り果てし 欅冬木に 流星あまた        (西条市 亀井 克礼)



















☆ 白才と 書いて真顔の 八百屋かな        (島原市 伊藤 育子)



















☆ 共に亡き 兄の夫婦の アルバムに 「幸福ゆき」の 厚手の切符        (千葉市 田口 英三)










 ☆ 一点に 絞り雪吊 緊張す        (高岡市 杉本 透)










☆ こけし屋は 木を見るだけで 力湧く 来年の原木 買ふを決めたり        (白石市 高橋 とし子)



















☆ 白芒や 一叢なれど わが砦        (千葉市 辺見 雅朗)

















☆ 手袋の 右手落ちゐて この街に 右手つめたき 一人あるべし        (仙台市 坂本 捷子)










 ☆ 大根に 引っ張られつつ 大根抜く        (奈良市 吉田 淳一)










☆ 赤い実の 生る木を置いて この窓に 鳥呼ぶという 母の計画        (横浜市 原田 彩加)



















☆ 房総の 水仙売りは 畑の中        (多摩市 崎山 亨)



















☆ 乃木軍の 旅順を攻めし 展開を グーグルアースの 地形に探る        (瑞穂市 渡部 芳郎)










 ☆ 背を正し 入る山門の 冬紅葉        (熊本市 内藤 悦子)










☆ 嬰児を 初めてぎゅっと 抱きしめる この蠢きが 胎動の正体        (東京都 黒河内 葉子)



















☆ 遠くにも 釣人ひとり 冬の川        (枚方市 上野 鮎太)



















☆ 寒き日は 甘い声して 猫を呼ぶ 猫撫で声は お互いの武器        (山口市 山本 まさみ)










 ☆ 山茶花は 羽もつものに 好かれけり        (倉敷市 米本 ひとみ)










☆ 年の瀬を 薄氷(ウスライ)ふみて 鐘楼へ 除夜の鐘つく いのちのありて        (福井市 甘蔗 得子)



















☆ 万羽鶴 夜明けの色と なって来し        (鹿児島市 青野 迦葉)



















☆ 幾人が 原発の村 思わんや 電飾美しと 見上ぐる人ら        (鳥取県 中村 麗子)










 ☆ 女性歌手 礼せぬ矜持 年の暮        (船橋市 斉木 直哉)










☆ でも今は 思い出たどる 旅よりも 思い出作る 旅にゆきたい        (東京都 白石 瑞紀)



















☆ 耳掻棒 やや曲がりゐる 寒さかな        (横浜市 谷口 一好)



















☆ 拝殿の 隅の地酒に 力借り 注連縄作る 男の子らの声        (岐阜市 後藤 進)










  



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