詩と写真のコラボレーション (2010 April)
☆ なつかしき マツダランプよ 春の暮 (岡山市 光畑 勝弘)
☆ 響き来る トランペットの 下手もよし 園にれんぎょう、ぼけ、 こぶし咲く (東京都 狩集 祥子)
☆ ふるさとの 大いなる山 花の山 (神戸市 竹内 信子)
☆ 温暖化 筍はやも 秀(ホ)を出して 湯掻けば春の 雪の味する (四万十市 島村 宣暢)
☆ 咲き満ちし 花見ず読書 ひたすらに (松本市 唐澤 春城)
☆ お手本の ように黙って たっている メタセコイアは きょうもまっすぐ (新潟市 太田 千鶴子)
☆ 咲き初めも 散り様もまた 雪柳 (米子市 中村 襄介)
☆ 朝までに 家族で蝶に なりそうだ キャベツ丸ごと 食べ尽くす晩 (横須賀市 加藤 ゆみ子)
☆ 大桜 一樹に如くは なかりけり (埼玉県 新井 あい子)
☆ わさび沢 隅の小さな 水たまり 水芭蕉の花 ほどけたりけり (気仙沼市 畠山 登美子)
☆ 母の手を切り 春光となりし児よ (今治市 横田 青天子)
☆ 逆向きに 流されてゆく 鴨もいて 春の川面に 日射し煌めく (鹿角市 柳澤 裕子)
☆ 椿落ち 水生き生きと 走りけり (大牟田市 古賀 昭子)
☆ 春風の 形はどんなだろうかと 想像しつつ 春風の土手 (坂戸市 山崎 波浪)
☆ 花散りて 花びら帰る ところなし (四日市市 小井 寒九郎)
☆ 神様に 借りたるものを ひとつずつ 返すことなり 老いるというは (大和市 水口 伸生)
☆ 天に帰す 人と見てゐる 桜かな (松原市 加藤 あや)
☆ 校庭の フェンスに二人 寄りかかり なんてことない 話をしたね (茅ヶ崎市 臼井 奈津美)
☆ うららかや ぞろぞろ入る 老の門 (津山市 妹尾 武志)
☆ 槍を持つ 元親公の 銅像の 裏に回りて その背を仰ぐ (須崎市 徳永 逸夫)
☆ 孫を抱く ための禁煙 桃の花 (福岡市 伊佐 利子)
☆ 四年後の ソチを目指すと 言えること 死など微塵も 思わぬ若さ (春日井市 伊東 紀美子)
☆ 冬菫 少女のやうに 手を振れり (南相馬市 江井 芳朗)
☆ 夕暮れの 海沿い走る ラジオから あなたと聴いた 「官能漂流」 (広島市 林 まゆ)
☆ 花ミモザ 風ふるはせて 雨上がる (枚方市 石橋 玲子)
☆ 女なら 一度捕まり 諭されてみたき 人情刑事 逝きけり (東京都 西出 和代)
☆ 旅先や 窓にゆうらり つるし雛 (鎌倉市 添田 洋子)
☆ 銅メダルの 誇らしき笑み 銀メダルの 悔しき涙 バンクーバー果つ (和泉市 長尾 幹也)
☆ 亡き人の 庭より来たる 待雪草 (フランス 美帆 シボ)
☆ 長考の 続く対局 宇宙から 届いた暗号 解くかのように (横浜市 おの めぐみ)