詩と写真のコラボレーション (2008 April)
☆ 噴水の ごとくに 枝垂桜かな (草加市 中川 英子)
☆ ちちちちと 空ゆくものは 啼きかわし 地に温もるは ははははと咲く (川崎市 真家 希紗)
☆ 芽柳の 風にも色の ありにけり (立川市 越智 麦州)
☆ 畦道の 果てまで掘られし 穴熊の 穴より白き すみれ咲きいず (多久市 松枝 さよ子)
☆ 梅のあと 桃はなやかに 山の中 (松山市 西 一海)
☆ 冥土まで もうすぐですよの お触れなる 「後期高齢者」 よくぞ命名 (秦野市 浦上 昭一)
☆ 鳥獣は 恋に懸命 山笑ふ (岡山県 奥山 登志行)
☆ クリオネに なりたいなどと ふと思う ふと思う程の ことだと思う (赤穂市 堀 百合子)
☆ 妻若し うす紅に 春の風 (イギリス 東 牧雄)
☆ 「いいものを作れば 貧乏」 屈託なく笑ひておれり 名人刃物師 (浜松市 石原 新一郎)
☆ 春の虹 やさしき春の 雨の中 (多摩市 芳 駿悟)
☆ 迷宮のごとく 機能をたたみ込み 携帯電話 ただ百グラム (京都市 才野 洋)
☆ さんさんの 光の中や ミモザ、雨 (イギリス 東 牧雄)
☆ 夜更けには 眷属神と なりたもう 片づけられた ぬいぐるみたち (高槻市 有田 里絵)
☆ 仰ぐほど 夢近くなる 辛夷咲く (松阪市 奥 俊)
☆ 脳味噌が 不思議な角度に 傾いて 坐りが悪い気がする 今朝は (本庄市 福島 光良)
☆ 両岸は 本所浅草 都鳥 (東温市 高石 幸平)
☆ 赤ちゃんを するのと問えば うなずきて 乳吸いに来る 我が子二歳 (滋賀県 山本 千恵子)
☆ 曙に浮く 赤き日や 花馬酔木 (生駒市 山村 修)
☆ 癌告知されて 鱗の落ちし眼に 窓辺流るる 雲美しき (大分市 長尾 素明)
☆ 通学に 畦は近道 下萌ゆる (大分市 佐藤 富士男)
☆ なぜ君は ここに付箋をしたのかと 思いつつ読む アラン・シリトー (京都市 敷田 八千代)
☆ 春や春 知識のはじめ いぬふぐり (取手市 増山 山肌)
☆ 満開の 河津桜と 菜の花の あわいにありて 人間の春 (高崎市 門倉 まさる)
☆ 啓蟄や 地球に刺さる ビルの数 (東京都 吉竹 純)
☆ 在来種 保護するために 外来種禁ずる 但し 人間関係除く (横須賀市 中川 栄治)
☆ 咲き出した 三椏眺め 体温計 (豊川市 田代 田)
☆ ひよどりを 若しも見たくば きさらぎの 愚陀仏庵の 椎の辺に来よ (西条市 亀井 克礼)
☆ 三月十日 言問橋に 行きにけり (白井市 酒井 康正)
☆ めぐり来し やよい、もも月、さくら月 眉はまどかに 紅はほんのり (夕張市 美原 凍子)