詩と写真のコラボレーション (2007 May)
☆ 地震あらば それまでと決め 水槽の底より 鮫観る 青に染まりて (舞鶴市 吉富 憲治)
☆ その中に 未だ幼さのある 初音 (芦屋市 小杉 伸一路)
☆ ひらがなで なやみぜーんぶ かきだしてみれば たいしたことはなかった (高槻市 有田 里絵)
☆ 竹伐って 竹の青さの 薄暑かな (姫路市 濱野 正美)
☆ おはようと こんにちわとの境目の 平和な露地の しろはなみずき (東京都 久保田 仁)
☆ 修善寺の しゃくなげの森 影光る (横浜市 塚原 治)
☆ 春に撮った写真は みんな縦長で 木の下ぽつんと 子の立つアングル (東京都 柴田 佳美)
☆ ダヴィンチ展 噴水天まで 吹き上がる (小金井市 稲垣 元博)
☆ 山峡の村に 初孫生まれけむ 鯉堂々と 中空に在り (熊本市 近藤 光弘)
☆ 母といた 昭和も吹きし 若葉風 (周南市 元久 安子)
☆ おとめごは 立ちて名を言う 黄に咲ける 小さな野草のように その名を (福岡市 中島 行矢)
☆ 一望に 千の牡丹の 香る園 (伊万里市 田中 南獄)
☆ 庭にあれば 白とも見ゆる いちはつの あわきむらさき 春慶に挿す (福岡市 宮原 ますみ)
☆ 水色の 生まれて 勿忘草かな (岡山市 田辺 文枝)
☆ ほの暗き 林の奥から 本物の おきつねさまが 出そうな初午 (飯田市 草田 礼子)
☆ 群れ咲くも あくまで 一人静かかな (群馬県 堀内 純子)
☆ その人は こんなに笑うことなんて 久し振りだと またまた笑う (松山市 瀬戸 順治)
☆ 囀りを 眩しく聞いてゐたりけり (佐賀県 池田 風比古)
☆ 「中庸な女がいい」 と言う君の 未来に 我はいないということ (箕面市 遠藤 玲奈)
☆ しばらくという よき刻を 花とあり (松戸市 高瀬 竟二)
☆ 花菜、舞花、菜摘、美香、萌、桃、彩、園庭の児が 蝶を見にくる (市川市 藤樫 土樹)
☆ いつときに 咲ける牡丹を 惜しみけり (横浜市 秋吉 芙佐子)
☆ こんなにも 夕焼け雲の おごそかに パイプオルガン 鳴りやまぬごと (川崎市 真家 希紗)
☆ 背の子の風船 雲を従へて (仙台市 柿坂 伸子)
☆ 愛さない 人間がおり 愛せない 人間がおり 赤ちゃんポスト (京都市 敷田 八千代)
☆ 花種の 絵を見比べて 買ひにけり (奈良市 帷子 黎子)
☆ かたくりの花 むれ咲ける山 歩き下りて 裾にあさつきを摘む (福井市 観 正一)
☆ 日当たりの良き 椿より 落ちにけり (東温市 高石 幸平)
☆ 小啄(コゲラ)来て 桜古木に洞穿つ 終日穿つ 終日眺む (宝塚市 寺本 節子)
☆ 咲き急ぎ 散り急ぐとは 花のこと (姫路市 上原 康子)
☆ 久方の アメリカ人のはじめにし ベースボールは 見れど飽かぬかも (正岡 子規)