詩と写真のコラボレーション (2010 June)
☆ こだはりの 木造駅舎 燕来る (高萩市 小林 紀彦)
☆ なおこやら りこちゃんという ゴーヤあり 吾子は名札を 作るのが好き (高槻市 有田 里絵)
☆ 木洩れ日も 影も緑で ありにけり (敦賀市 村中 聖火)
☆ 三叉路の 石の佛に ゆらゆらと 風立つらしも 木洩れ陽の揺れ (南魚沼市 五十嵐 とみ)
☆ あぢさゐに 香りをつけて みたきかな (調布市 赤羽 啓山)
☆ いい人に つながっている いい人の いい人だけの 輪になる踊り (館林市 阿部 芳夫)
☆ 何もかも いきいきさせて 若葉雨 (福知山市 宮本 幸子)
☆ 黄緑と 緑が茂る 森の中 歩けば私の 鮮度も上がる (富山市 松田 由紀子)
☆ 芍薬の 溢るるごとく 開きけり (西宮市 吉田 邦男)
☆ 中庭を まっすぐ抜けて 三限の ヘブライ暦の 講義に向かう (京都市 敷田 八千代)
☆ 桐の花 今日もどこかで 散ってをり (志木市 柴田 香織)
☆ 牡丹花を 越えくる風で 乾きたる 鯵に夫の 晩酌すすむ (鳥取県 中村 麗子)
☆ 薔薇咲いて 傷負う指の ありぬべし (芦屋市 高杉 靖子)
☆ 廃駅に 残す切符の 売店に 「幸福」行きを 我も手にせり (越谷市 北村 国丸)
☆ 里山の 日暮さみしき 山法師 (大阪市 山田 天)
☆ 普天間へ 大変だねと 上からの 目線を放つ 飼い馴らされて (京都市 柴田 修三)
☆ 地の緑 樹上の緑 みな命 (松山市 吉武 宗史)
☆ 町川に 捨てられし 古自転車に 芥まとわりて 洲を成したり (八尾市 水野 一也)
☆ 鉄線花 一りん毎に しじまあり (茅ヶ崎市 川村 敏夫)
☆ ルノワール 描きし「少女」は 一三〇年 まばたきもせず 潤むまなざし (箕面市 大野 美恵子)
☆ 羊群の 丘に起伏に 風薫る (札幌市 岩本 京子)
☆ 東大寺 毘慮遮那仏の 金色に 話が及ぶ 化学の授業 (岡山県 丸山 俊幸)
☆ 矢車の よろこび廻る 峡の空 (長野市 縣 展子)
☆ ヘンゼルと グレーテルのように 手を繋ぎ あのモクレンの 角を曲がろう (和歌山市 植田 陽子)
☆ 街裏に ユトリロのゐる 朧かな (新潟市 沢田 勉)
☆ 細るとも 涸れずにあれな 揚梅の 比良より滾(タギ)つ ふたすじの瀧 (大津市 伊関 正太郎)
☆ 蝸牛 かつて機関車 煙吐き (柏市 木村 みかん)
☆ 一合の 酒をおいしく 飲みたくて 雲と道連れ 五千歩あるく (三島市 杉浦 俊雄)
☆ 幾年ぞ ただ夏草の 濠の跡 (観音寺市 瀬戸 卓)
☆ また君に 恋してるのか まだ君に 恋してるのか 揺れる恋歌 (広島市 西原 眞理子)