詩と写真のコラボレーション (2006 May)






☆ 人棲まぬ家の 小庭に咲く薔薇 〈愛などなくて 生きてゆけるよ〉    (千葉市 西谷 恵)











 ☆ 芍薬に 雲間の光 降りきたる     (川口市 岡田 正子)








☆ 見送って 見送られたる 里の駅 からくり時計が 太鼓を叩く      (熊本市 徳丸 征子)

















☆ ちりて後 おもかげにたつ ぼたん哉      (与謝蕪村)

















☆ 食べきれぬ 菜花を生けて 五日間楽しみおれば 吾子に歯が見ゆ     (高槻市 有田 里絵)









 ☆ 大牡丹 崩るる音の ありにけり     (大阪府 辻 千緑)







☆ 路々に 花を嗅ぐ 夫(ツマ)大男 愛深まって 恋は冷めゆく      (東京都 柴田 佳美)

















☆ 職退けば 午後に見てをる 菖蒲の芽     (春日部市 小野 はじめ)

















☆ 肩書きも 名刺も置きて 十余年 新緑いよいよ われに鮮やか     (蓮田市 斎藤 哲哉)









 ☆ 花守の ふたり老いたり 夕牡丹      (うきは市 今村 武志)







☆ 八重桜咲けば サボテン植え替うる 一人暦の 五十年過ぐ      (小平市 宮下 矩雄)

















☆ 鯉のぼり 尾が見え 一階夫婦の間     (横浜市 谷川 無風)

















☆ 「午後からは雨」 とラジオの伝えくる 日曜日にも 恋ははじまる    (加賀市 敷田 八千代)









 ☆ 満開という 重さにも 耐えて 花     (鳥取市 椋 誠一郎)







☆ 消しゴムを 使い尽くしたことの ある人はいますか 俺はまだない     (海老名市 相原 かろ)

















☆ 野遊びの子に 木登りの一樹あり      (泉大津市 多田羅 初美)














 ☆ 咲き初めし 雨の猩猩袴かな       (奥州市 重茂 淳彦)







☆ 立ち上がり なぜ立ったかを 忘れいる 空に翻車魚(マンボウ)のような浮雲     (東京都 佐藤 佳子)

















☆ 縁付きし 一人静の 能登をふと     (金沢市 村田 芙見子)




(一人静→)










☆ 黄砂ふれば ふるさととおく 思うらん 唐のほとけも 伎楽の面も     (新潟市 太田 千鶴子)









     



☆ 心に      by るな☆


 花を咲かせましょう

  あなたなりの

   あなたらしい

            花を咲かせましょう



(ケマン草)









☆ 樫の木に 新芽出ずれば その真下 青銅の馬の 暗さが目立つ      (高崎市 門倉 まさる)

(琴平宮にて)















☆ 砂浜を 摩ってばかりの 春の海     (那覇市 渡久地 政実)






(桂浜)










☆ 家船とう 内海漁民の船満ちし港を占める プレジャーボート       (三原市 岡田 独甫)









 ☆ のどかさや ぶら下がりゐる 寺の鐘     (国分寺市 松本仁子)







☆ ベビーカー桜の下で押すうちに パパと呼ばれて パパとなるらし     (高槻市 有田 里絵)









☆ 叱られて たんぽぽ 噛みしこともあり       (石川県 砂山 鉄夫)





















☆ 囀りや 心解せる 雑木山       (青梅市 吉田 悦子)





















☆ 白妙の アズマイチゲを 携帯の画面に咲かせ 青年下山す      (下野市 若島 安子)









 ☆ 桜草 ショパンの曲の 第一章     (名古屋市 鈴木 誠)







☆ 沖方より 海鳥の群れ伴いて 吃水深く 漁り船帰りく      (神奈川県 近藤 糺)