詩と写真のコラボレーション (2010 Octorber)
☆ ピーマンは 明日食べると 逃げる子を あきらメガネを かけて眺める (高槻市 有田 里絵)
☆ 貴きに 仕ふる如く 菊作り (多摩市 吉野 佳一)
☆ ほほと笑み 呵呵と笑える 実のありぬ 檀(マユミ)、柘榴に 秋陽あまねし (町田市 石井 澪子)
☆ 嘴に しかと小魚 秋の鷺 (清瀬市 伊藤 満)
☆ 蝦夷鹿の 牝から間引くと 聞かされて 急にざわめく 子宮の周辺 (恵庭市 五十嵐 容子)
☆ ビリになり 笑ふ子泣く子 運動会 (館山市 蛯名 正男)
☆ 衣を正し 調査員証 提げきたる 国勢調査員は お隣のパパ (下野市 若島 安子)
☆ とは言へど 雲秋めいて きたるかな (東京都 石川 理恵)
☆ ねこじゃらし ススキの初穂 犬の尻尾 素直なものに 秋の風吹く (徳島市 上田 由美子)
☆ 濁流の 岸にコスモス 揺れにけり (名古屋市 石井 清司)
☆ 盂蘭盆会 灯籠流す 四万十川の 渕深く棲む 鮎の寂しさ (四万十市 島村 宣暢)
☆ いつになく 苦労のことし 菊づくり (横浜市 岡部 重喜)
☆ 音楽祭 モーツァルトに 会えたなら トロッコ電車 案内したい (富山市 松田 梨子)
☆ 美しく 舞ふほど淋し 風の盆 (八王子市 佐々木 康史)
☆ ねこ こぶた たぬき きょうりゅう 尻とりに 形変へつつ おそなつの雲 (さいたま市 新妻 雅人)
☆ 十六夜の 峡の深さを 究めをり (大阪市 友井 正明)
☆ 壺坂の 峠越ゆれば 世尊寺の 天女花笑みて 待ちおり (天理市 松村 房子)
☆ 朝日得て 光だしたる 花芒 (熊本県菊陽町 井芹 眞一郎)
☆ 土曜日は 稲刈りだから 会えなくて 君との秋が 始まっている (京都市 敷田 八千代)
☆ 日本一 上手そうな柿 子規祀る (伊万里市 萩原 豊彦)
☆ 血管を つなぐと十万キロになる われらの身体 彼岸花咲く (茨木市 瀬川 幸子)
☆ すすり泣く 子の後より 黒揚羽 (津市 中山 いつき)
☆ シアトルの イチローの秋 如何ならむ 箴言のごとき そのうつしみよ (水原 紫苑)
☆ 人声に 触れて痩せゆく 花氷 (行橋市 進 峰月)
☆ 堪えかねて 身の弾けたる 鳳仙花 どこかで秋が そっと見ていた (福島市 美原 凍子)
☆ やはらかく 少女揺れゆく 花野かな (いわき市 馬目 空)
☆ ピアノ弾く 妹が好き 弾き終わり くるりふり向く 笑った顔が (富山市 松田 梨子)
☆ 萩白し 風の中より 切って来し (高槻市 会田 仁子)
☆ 灼熱の 野原なりて いにしへの 都の跡も たゆとふ猛暑 (奈良県 秋野 和昭)
☆ 少年の 瞳になり仰ぐ 鰯雲 (神戸市 日下 徳一)
☆ 観覧車 回る晩夏の 駅にいて 呼び戻せない ものに手を振る (相模原市 岩元 秀人)