詩と写真のコラボレーション (2009 May)
☆ 遠い遠い 昔がそこに あるように 矢車草の 花が揺れてる (さいたま市 吉田 俊治)
☆ 紫陽花の 待ちゐる雨を 吾も待つ (大阪市 塙 告冬)
☆ 手を洗え 毎日毎日 繰り返す 第一関節 濡らす息子に (所沢市 勝谷 裕美)
☆ 神島の 舟ことごとく 菖蒲挿し (津市 中山 いつき)
☆ 医者への道 悩みぬいて 諦めて 泣きながら読む ブラックジャック (袖ヶ浦市 椎名 カイリ)
☆ 花に来て 無口となりし 女かな (岡山市 伴 明子)
☆ この空を つたって会いに 行きたくて 底なしの青に 腕をのばす (兵庫県 佐藤 加容)
☆ 鑑真の 苦難の海に 春惜しむ (鹿児島市 青野 迦葉)
☆ 佐賀の街 さくらは散りて 雨の中 カササギ歩む 傘もささずに (佐賀市 安川 善清)
☆ 結局は けふも牡丹 剪らざりし (大阪市 塙 告冬)
☆ 言葉えらび 草gさんは 謝罪する アイドル・いいひと・三十四歳 (福山市 金尾 洵子)
☆ 僕達は 漫画みているのか 蛙 (長崎市 飛鳥 太郎)
☆ 「母の日の お花どこでも 届けます」 お願いします お空にひとつ (広島市 大堂 洋子)
☆ 槍を持つ ブロンズ像や 花吹雪 (習志野市 早川 高士)
☆ 言の葉に まだなりきらぬ 声を上げ 桜見上ぐる 一歳の春 (東京都 宮田 礼子)
☆ 尾根に立つ 人は芥子粒 木の芽晴 (芦屋市 田中 節夫)
☆ 大き亀甲は 石のごと 固けれど 撫づれば温し 肢やわらかく (三鷹市 増田 テルヨ)
☆ 寝ころべば 地球は丸く かげろへり (横浜市 橋本 青草)
☆ 大山の 北壁に 音響かせて 救難ヘリの ホバリング長し (鳥取県 長谷川 和子)
☆ 藤香る 宴の声は なかりけり (岐阜市 信)
☆ 赤ちゃんの においたくさん 吸い込んで やわらかくなる われの輪郭 (高槻市 有田 里絵)
☆ 髪切りしか 女遍路と 室戸まで (徳島市 清水 君平)
☆ 百年に 一度の危機と うろたえるなかれ 阿修羅の まなざしの前 (中央市 前田 良一)
☆ はっきりと 意見を云う子 チューリップ (川西市 上村 敏夫)
☆ 瑞泉寺 むらさき大根 きれいだね いっぱいあるので びっくりしたよ (横浜市 高橋 理沙子)
☆ 窓際の 視野を占めたる 濃山吹 (生駒市 鈴木 石水)
☆ 桃の木に 桃の花咲き まろき実と なりゆくまでの いちにちいちにち (福島市 美原 凍子)
☆ オルガンの 春の小川の さらさらと (東京都 森 彰一郎)
☆ 阿修羅像 互いに見えぬ 顔三つ 千年の孤独に ひたすら耐えて (横浜市 竹中 庸之助)
☆ 落花して 落花してなほ 咲き満つる (静岡市 松村 史其)
☆ 数珠のごと 行列続く 「阿修羅展」 僧衣の人も 桜の下に (町田市 富山 俊朗)