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【2016年】
01
☆ 受験子が路傍の祠に立ちどまり （川口市 青柳 悠）
☆ 真っ白な雪の斜面を均しゆくスパチュラのようなあなたのスノボ （調布市 水上 香葉）
☆ 月面の一歩の如く雪を踏む （熊本市 菊池 育子）☆ 朝早くパパとお出かけ大雪でまあるくなった車掘り出し （富山市 松田 わこ）
☆ 白に白重ねて雪の姫路城 （兵庫県太子町 一寸木 詩郷）
☆ 「しっとり」と「とてもしっとり」の化粧水十円の差あり「とても」を選ぶ （八王子市 井上 紀子）
☆ 松一字墨あをあをと筆始 （西宮市 黒田 國義）☆ 蜂の群れか電動ノコかと見上ぐれば梢の間よりドローンが見ゆ （八王子市 青木 一秋）
☆ 三猿の逆を生きんと老の春 （大阪市 向井 幸子）
☆ 独り居の用心棒なる男傘埃はらいて傘立に差す （甲府市 依田 美恵子）
☆ 儀式のごとくラグビーボール立てにけり （西海市 前田 一草）☆ 中（ｱﾀ）りても中らなくとも弓引けば身体の芯が浄化されゆく （横浜市 松村 千津子）
☆ 白鷲の一心に冴ゆ真白かな （東大阪市 宗本 智之）
☆ カワイーとコワーイ以外の物差しで思ってごらん春の少女よ （水戸市 中原 千絵子）
☆ ふるさとの方を恵方と決めてをり （東京都 望月 喜久代）☆ 冬が好き君がきらいな冬だけどそれでも私、冬が好きなの （熊本市 星 ひかり）
☆ 争へる熊を見てゐる狐かな （市川市 抜井 諒一）
☆ 少し夢をもちたし宝くじの当選番号いまだ開かず （福岡県 住野 澄子）
☆ 水仙の日向つくるやここかしこ （さいたま市 佐藤 勇治郎）☆ いくつもの凧の中より抜きん出て高き凧あり正月の空 （八尾市 水野 一也）
☆ 人を食った漢字に皸と皹と （橿原市 堀江 重臣）
☆ お互いを意識しつつも５周目でやっと手を取るスケートリンク （高石市 中村 玲子）
☆ はち切れんばかりの若さ以て春著 （枚方市 石橋 玲子）☆ 高崎山生態調査の院生にひそかに恋慕の雌猿ありし （名古屋市 諏訪 兼位）
☆ 末の子の取るまで待ってゐる歌留多 （鹿児島市 青野 迦葉）
☆ 無駄をすべて削ぎ落としたる肉体で無駄な思考捨て去る駅伝 （東京都 上田 結香）
☆ 初凧に元気な空となりにけり （松原市 西田 鏡子）☆ 年の暮山寺の床冷たきに深き笑ひの円空仏 （岐阜市 後藤 進）
