お茶の時間 (2012 January)
☆ 銀杏散る 赤き帽子の 六地蔵 (徳島 岡山 三七子)
☆ 三世代 揃ひゐる家 大根干す (阿南 上田 千代)
☆ この町に さびしさ嗅ぎと いう猫がいて わが足に そっと寄りくる (垂水市 岩元 秀人)
☆ 時といふ 止まらざるもの 除夜の鐘 (旭川市 大塚 信太)
☆ 北向きに いずれの舟も 碇打ち 釣りをしており 冬凪の瀬戸 (高松市 菰渕 昭)
☆ 誕生日 ポインセチアの 大き鉢 (松茂 橋本 すみ子)
☆ 静かなる やさしさ見せて 山里の 銀杏の一木 日を浴びそめて (高知 小野 久寿以)
☆ 日本の 朝日は滝よ 冬山河 (さぬき市 野崎 憲子)
☆ 缶コーヒー 熱きを両手に ころがしつ 良い人生だった 不意に夫言う (佐世保市 近藤 福代)
☆ 鷹をみしこと 幸先の よかりけり (大牟田市 古賀 昭子)
☆ 年重ね 穏しき日々を 支え合い 山茶花愛でる 師走の庭に (吉野川 小川 和子)
☆ 唐突に 風がさらひし 冬牡丹 (枚方市 有田 嘉子)
☆ 冬ぬくき 異常気象に まどひしか 木蓮の和毛 冬天をつく (いの 瀧石 雅子)
☆ 散る紅葉 追ひ越して雨 雫かな (東かがわ市 桑島 正樹)
☆ 千両の 朱き実あまた 結びをり 迎ふる辰年 縁起のよきか (吉野川 市村 久子)
☆ 裸木と 裸の空や 上天気 (船橋市 笈川 夜白)
☆ 一株の カニサボテンの 咲き盛る 部屋の空気は 気負いを見せて (つるぎ 臼井 久恵)
☆ ボリュームは 志功の女に 似るわたし (新居浜 東 京子)
☆ 初雪を 私と見ていた 指たちが 窓にバッハの インベンション弾く (富山市 松田 わこ)
☆ 冬すずめ 子の手のなかに 温まる (川口市 青柳 悠)
☆ 黒と紺 迷って決めた 新しい コートは雪に 合いそうな紺 (富山市 松田 梨子)
☆ 小鳥来る 枝しなる程 実南天 (田野 須藤 夏実)
☆ 戸隠そばの 土産あげたる 隣家より 讃岐うどんの 土産いただく (八王子市 青木 一秋)
☆ 山彦が もどって来ない 山は雪 (高松市 柴田 清子)
☆ 生り年の 次郎柿熟れて たわわなり 孫の太郎も 次郎も遠く (香南 野村 静)
☆ 返り咲き とも思はれぬほど 桜 (琴平 片桐 善男)
☆ 何度見ても 町飲み込まれゆく 映像は 仮想現実(バーチャルリアル)の 境を持たず (盛岡市 菊池 陽)
☆ 日向ぼことも 魚釣とも 見ゆる (日向市 松重 幹雄)
☆ 濁流が 暮らしを呑みたる 十津川の 宙踏みてゆく 風の吊り橋 (奈良市 坂上 元)
☆ 正月の りんとした寒さが 実は好き (坂出 尾崎 たづ子)
☆ 夜九時に 電話かけて来る 君のため チョコのような 声用意する (神戸市 野中 智永子)
明けまして おめでとう ございます