お茶の時間 (2011 December)



☆ 乗り越えるも 乗り越えられるも 首伸べて 陽を恋うる亀 猿沢の池        (大和郡山市 四方 護)










  ☆ 谷川の 岩間に宿る 散り紅葉        (琴平 出村 匡)










☆ 分水嶺 こえきし村に やはらかな 光かへせる 干し柿ならぶ        (鳥取県 中村 麗子)
















☆ 運だめし 年末ジャンボ くじを買う        (徳島 能田 文夫)















☆ 秋の雲 もこもこ体に 詰め込んで ぽかりぽかりと 空に浮きたし        (赤穂市 内波 志保)










  ☆ 野仏も 溺れておはす 落葉かな        (多度津 椿屋 新)










☆ 蜂鳥ら 極楽鳥花の 咲き具合 見定めに来る ロスの霜月        (舞鶴市 吉富 憲治)




















☆ 三叉路に カーブミラーや 柿の秋        (阿波 井内 ミツ子)















☆ 小夜更けて しのび寄りくる シンフォニー かそけき音の 銀杏黄葉        (高知 井上 美羊子)










  ☆ 紅葉も 碧天もまた 極まりぬ        (金沢市 今村 征一)










☆ 月の夜は 銀河鉄道 走る夢見たく カーテン閉めずに 眠る        (阿波 稲井 ミヤ子)
















☆ 夕焼けの さいごみてゐる カラスウリ        (取手市 増山 山肌)















☆ 眼の前に 山茶花の花 散りてゆく やさしき色を そのままにして        (高知 入交 寿満子)










  ☆ 肩出して 大根らしく なりにけり        (松江市 三方 元)










☆ 一枚に 千の色あり 薬師寺の 門前に拾いし 桜の落ち葉        (丸亀 河合 素子)
















☆ 渓谷の 人を容れたるまま 紅葉        (田野 須藤 夏実)















☆ 川面ゆく 親鴨と五羽の 小鴨たち ふっくら肥り 冬間近なり        (蓮田市 青木 伸司)










  ☆ 新米を 伯方の塩で おむすびに        (今治 河上 幸子)










☆ 天国の 母にいちばん 近い花 皇帝ダリア 微笑みて咲く        (阿南 仁井 信子)
















☆ 「巫女募集ただし黒髪」 冬めける        (静岡市 篠原 三郎)















☆ 声高く 庭の柿より 飛びたちし 百舌の行く方は 雲一つなし        (高松 細谷 ヨシ子)










  ☆ ぬきんでて 日を恋ふ色に 石蕗の花        (宇多津 宮内 正毅)










☆ 身の丈を 超ゆる草鞋の 吊られいる 札所にまいる 肌寒き朝        (高松 小林 八州男)
















☆ 斧たたみ 蟷螂沈む 草の中        (北島 松浦 勝江)















☆ 三輌で 着きて一輌 切り離し これより飛騨路 これより晩秋        (可児市 前川 泰信)










  ☆ また吾の かほを描きをり 団栗に        (群馬県東吾妻町 酒井 大岳)










☆ 折りたたむ 順序たがえず 羽おさめ 青鷺は一本の 枝になりたる        (三島市 淵野 里子)
















☆ マンボウが 初木枯の 空をゆく        (取手市 御厨 安幸)















☆ 朝夕に 聞きてなじみの 鐘の音の 人無く鳴るを 見てしまひたり        (ひたちなか市 篠原 克彦)










  ☆ 子規の忌の 過ぎたる 坂の上の雲        (四日市市 盛野 たね弘)










☆ TPP 日本の岐路を 決めること どちらが良いか 吾も分からず        (三好 矢野 修)