詩と写真のコラボレーション (2008 January)
☆ 黒船の 来航のごと イージス艦 横須賀港に ドンと腰すえ (横浜市 三浦 美智子)
☆ 初夢の なかに初夢 見てをりぬ (蓮田市 田中 宏)
☆ お隣ゆ 届きし柚の しわ撫でて 眺めてひょいと お手玉遊び (福知山市 横下 正子)
☆ 羽田から 羽子板市へ 向かひけり (玉野市 加門 美昭)
☆ こうやって 君を忘れて ゆくことを 忘れていいのだろうか 二十歳 (京都市 敷田 八千代)
☆ 冬牡丹 しづかに見得を 切ってをり (柏市 嶋崎 茂子)
☆ 「もう充分生きたよ」 老樹の声聞こゆ 空洞に コンクリ詰められて立つ (名古屋市 長谷川 安子)
☆ 行く年や 回転木馬 止まりさう (いわき市 鈴木 昭光)
☆ 霊長目 ヒト科ヒト属 喫煙種 絶滅の危機 誰も危惧せず (横須賀市 中川 栄治)
☆ 初釜の 水汲み役を 貰ひたる (倉吉市 尾崎 槙雄)
☆ わんわんと いぬには 違いがあるらしい 使いわけつつ 子は歩きゆく (高槻市 有田 里絵)
☆ 蜜柑垂る 垣の家あり 坂の町 (生駒市 山村 修)
☆ おかあさんとも おばあちゃんとも 呼ばれない 女の一生 (夕張市 美原 凍子)
☆ 落葉して これより 空の一樹かな (茨木市 瀬戸 順治)
☆ 好きですと その一言が 言いたくて でも言えなくて 卒業の朝 (大垣市 新原 梨央)
☆ 雪吊りの 天辺にある 力かな (草加市 安宅 弘子)
☆ あけまして おめでとうと 言う練習をしながら 吾子と お飾り選ぶ (高槻市 有田 里絵)
☆ 居ながらにして 雪山を見る 奢り (群馬県 酒井 せつ子)
☆ 占いは 恋愛運が良きと出て なんの足しにも ならねどうれし (日高市 宮本 文子)
☆ 美白とは 葱の一皮 剥く程に (足利市 栗原 貞雄)
☆ 「誰だって 中途半端に 生きて行く」 という言葉 まだわかりたくない (箕面市 遠藤 玲奈)
☆ しぐるるや 鳳凰堂の 鳳凰も (広島市 出原 知恵)
☆ 大空へ 昇る心地で 座りおり リフトの人は 皆足を振る (生駒市 宮田 修)
☆ 手袋に 手袋を入れ しまひ込む (市原市 斉藤 圭子)
☆ オセロゲームに 妻子は興ず 黙々と 俺はめし食う たまに咳して (和泉市 長尾 幹也)
☆ 温め酒 妻は相手を してくれず (東京都 向井 はるを)
☆ あなたどこ? 山形、 兵庫われ 愛媛讃岐うどんを すすりて別る (四国中央市 薦田 郁夫)
☆ 夜は光る 氷柱の 摩天楼であり (天童市 高橋 ゆり子)
☆ 東京に 一人暮らしている友の 小さな小さな 部屋のパソコン (京都市 敷田 八千代)
☆ マフラーを 領布(ヒレ)のごと振る 女かな (福岡市 奥西 邦夫)
☆ 勢いをつけて 受話器を握りしめ これから君の声に 抱かれる (東京都 池田 由美子)
◆ 新年、明けまして おめでとうございます。
今年も、「詩と写真のコラボレーション」を続けて参ります。 どうぞよろしく。
ご訪問の皆さまの、ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。