詩と写真のコラボレーション (2005 Decenber)






☆ 偽りに軋む 高層ビルを載せ 島がひそかに 崩れゆく音     (市川市 藤樫 土樹)









 ☆ 東京に 星の見えない 冬の空      (東京都 藤森 壮吉)









☆ 再会を誓い 秋日に くれないのさねがずらの実 ひとつ渡しぬ    (松山市 吉岡 健児)

















☆ 石仏傾くほどの 霜の朝       (高山市 中井 千文)

















☆ それならば 月の光が効きますよ しずかに浴びて ごらんなさいな    (新潟市 太田 千鶴子)



(立川・昭和記念公園 ↑ )





 ☆ 神牛にすがり 蟷螂枯れきれず     (福岡県 徳永 スキ子)

(谷保天神 ↑ )





☆ あのカフェの 電車の見える席が好き そんな話も 君にならする      (小金井市 丸井 礼子)





















☆ 残像となりし 銀杏の黄葉かな       (大牟田市 古賀 昭子)



















☆ 生者のみ めくれるように出来ている 日めくり暦 すでに極月    (塩釜市 佐藤 幸一)









 ☆ 杉玉に 新酒の町となる 伏見       (敦賀市 村中 聖火)









☆ だるまさんがころんだ みたいに移動してないか うんと近くに 今日の富士山     (羽村市 安元 文紀)

















☆ 採りもせず 盗まれもせず 柿たわわ     (香川県 真砂 松韻)

















☆ おくるみの楕円形ごと 抱きよせて 「湯たんぽ」ならぬ 「子たんぽ」の冬     (高槻市 有田 里絵)









 ☆ 去来する 雲の早さよ 帰り花       (浜田市 田中 静龍)









☆ 「金賞」の札 下げたまま 軒下に枯れかけている 黄菊大輪      (青梅市 宇佐美 幸二)

















☆ 木の実いろとりどりに 夜は明けぬ     (国立市 加藤 正文)

















☆ こんなときだけの 賽銭たてまつり 鳥居の内の ぎんなん拾う      (青梅市 宇佐美 幸二)









 ☆ 大方は地に還しつつ むかご採る      (熊本県 坂田 美代子)









☆ 咲くというほどにはあらねど 花咲きぬ 廃寺の庭の 冬の桜に      (坂戸市 山崎 波浪)

















☆ 山茶花の 咲き初め知らず 散ってゐし     (柳川市 木下 みね子)

















☆ 夫もまた 小さきものを好きになり 吾子の手ほどの 木の葉を拾う    (高槻市 有田 里絵)









 ☆ 登るには 余りに高き 紅葉かな       (福岡県 渡部 蜩硯)









☆ サボテンの トゲの内より生れくる やさしき花を想う 冬の日     (アメリカ 香山 正賢)




















☆ 錦木の 芽に降る 春の小雨かな     (森田雷死久)




















☆ 現実のすべては なかなか見えにくい 手鏡に 写りきらぬ背景     (芦屋市 一木 仁奈)









 ☆ 金色の空蝉 隠す 竜の髭      (横浜市 谷川 無風)









☆ 透明なエレベーターの あるビルが 我が家の午後の 陽射しを閉ざす     (名古屋市 木村 久子)

















☆ 柚子たわわ 山の暮らしの淋しさに     (神戸市 加藤 睫子)

















☆ 手をつなぐほどの 若さも老いもなく 君とゆきたる 秋の大和路    (生駒市 鳥山 有里子)









 ☆ 見給ふな 落葉乱れし 庭だけは     (芦屋市 山口 百桑)









☆ 人生を始めたいから 生まれ出る  I was born  とは言いながら     (高槻市 有田 里絵)