詩と写真のコラボレーション (2005 Novenber)






 ☆ 一箇所は濃紅葉となる 薄紅葉     (岡山市 伴 明子)









☆ 「それめっちゃ似合うで 絶対買っときや」 関西弁の接客 上手し    (加賀市 敷田 八千代)

















☆ 鬼瓦 照らす月あり 主なく      (東京都 山浦 信子)



(恵林寺 講堂の鬼瓦 →)













☆ 秋の日を散乱させて きらきらと 裏銀小灰 折れ曲がり飛ぶ     (熊谷市 内野 修)









 ☆ 寿福寺に 大いなる秋 ありにけり     (札幌市 前田 豊作)









☆ 君と僕をのせた 真紅の観覧車 夜の空に光りはじめる     (加賀市 敷田 八千代)

















☆ さよならがうまく言へない 秋の蝶     (横浜市 島田 ひかる)

















☆ 眠っても起きても飲んでも ほめられて 初孫育つ 紅葉の季節に     (アメリカ 久下 朋子)









 ☆ 名筆の掠れの如し 秋の雲       (神戸市 廣井 良介)









☆ 今までの世界が どんなだったのか わすれそうです 君が生まれて     (高槻市 有田 里絵)

















☆ 秋遍路 海辺を行けば 空も海      (岡山市 光畑 勝弘)

















☆ あけびの実は 傷つきやすし 紫に熟れて 内部の神秘さを見す    (能代市 佐々木 克子)









 ☆ 薬師寺の二塔 奏でよ星月夜       (豊橋市 河合 清)









☆ 東京は忙しすぎる という友は 田舎へ帰り 花嫁になる      (箕面市 遠藤 玲奈)

















☆ バズーカのごとき カメラに小鳥来る    (市川市 杉森 日出夫)

















☆ 剣岳山頂に 憩う人の声 頭上に聞きつつ 岩を攀じゆく     (青梅市 宇佐美 幸二)









 ☆ 稲刈りて 名もなき草に 日のあたる      (今治市 横田 晴天子)









☆ 運動会にマツケンサンバ踊る子は 光る鉢巻 はにかみて締む      (広島市 長久 つた代)

















☆ 届かざるところに いつも 野菊濃し     (大川市 諸富 芳子)

















☆ すぎゆきし 時間ひとつを抱くように 六体地蔵のうしろに坐る     (城陽市 坂根 美知子)









 ☆ 電線に また来て十羽 秋麗       (名古屋市 日原 正彦)









☆ 甘楽郡 甘楽町秋畑 ひびき良きこの里を ひとは出てゆく      (群馬県 飯塚 八起)

















☆ 秋海棠 西瓜(すいか)の色に 咲きにけり       ( 松尾芭蕉 )

















☆ 空海の 風信帳の信の字の 崩し加減を 今も忘れず       (坂戸市 山崎 波浪)









 ☆ 草の花 一つは妻が見つけけり      (熊谷市 内野 修)









☆ 目前に迫るものしか見ぬ我に ここまで来いと招く水平線       (草津市 杲 一哉)

















☆ 草取りや 太きふぐりの 陶狸      (京都市 土井 達明)

















☆ トタン屋根 トッテンコロリン 栗の毬 落ちたところで栗が顔出す    (岸和田市 久吉 英子)









 ☆ 母さんの 曲がった腰も 菊匂う      (水戸市 笹沼 英子)









☆ 「夢」なんて 文字しか知らぬ ぼくらはいま スワンボートで海へ漕ぎだす     (東京都 井尻 貴子)