詩と写真のコラボレーション (2005 October)
☆ 豊水とう 梨がこんなに甘くって ふっと気になる この国のこと (夕張市 美原 凍子)
☆ 水音の 石から石へ ななかまど (横浜市 中本 美代子)
☆ 骨盤の細くなりゆく乙女らの ジーンズに這う 銀のじゃらじゃら (松山市 吉岡 健児)
☆ 星飛んで 飛んで 高原眠らせず (坂出市 溝渕 和幸)
☆ 林檎園のかたわらに 蕎麦の花咲かせ 信濃の秋の 深まりてゆく (高松市 弧淵 昭)
☆ 乾坤の 使者のごとくに 一葉落つ (新潟市 沢田 勉)
☆ 卵のなかの 卵をしぼりだすように 真赤な真赤な 鬼灯を押す (山形県 佐藤 幹夫)
☆ ぎくしゃくと 止まるでもなく 芋水車 (大阪府 辻 千緑)
◆ いつも 見に来ていただいて ありがとうございます。
【詩と写真のコラボレーション】 が 1000回 となりました。
日替わりで続けて、約3年となる。
日記とはちょっと違う視点で、世の中の出来事や移り変わりを見つめながら、
コラボレーションを考える。
日ごろから出かけるときはデジカメを離さず、面白いな、と思ったモノや風景を写真に撮る。
新聞の投稿詩(短歌、俳句、川柳)に目を通し、心に響き、これはいいと感じた詩をメモしておく。
詩を作る人の観点と僕の視点(写真)とが、偶然に共鳴するーーそれがコラボレーションだ。
インターネットやブログの時代の 新しい遊び方だろうか。
タネに行き詰まるまで、続けてみようと思っている。 これからも よろしく。
☆ 過ぎゆきの人の 優しく揺るるころ 風が笑って 秋桜ゆれて (大津市 纓坂 佳子)
☆ むくつけき木の 紅の林檎かな (今治市 日野 正寛)
☆ 朝食で 心をつないでいきたいの 共働きの新婚生活 (川崎市 谷口 史恵)
☆ 曼珠沙華 ぼくが悩むと 空は笑む (神戸市 豊原 清明)
☆ わたしたち結婚します 小鳥来る (大阪市 大塚 俊雄)
☆ 立山の はだかのままや 雲の峰 (大阪市 福田 右三郎)
白馬岳と大雪渓 →
☆ 新涼の夫の書斎ゆ 洩れてこし 謡の声の ひびき高まる (町田市 坂井 暁子)
↑ 能 「砧」
☆ 赤とんぼ 翅の力を 抜き憩ふ (上越市 上野 やすお)
☆ ふるえつつ 絹のようなる夕顔の 開きゆくなり 夕闇のなか (北九州市 大津山 郁子)
☆ 萩ほめて 犬ほめられて をりにけり (神戸市 玉手 のり子)
☆ 茄子漬けに 染まりし爪を 先ず切りぬ 万葉故地への 旅の始まり (仙台市 永井 さつ子)
★ 鶏頭の 暮れゆく影の 太きまま (姫路市 濱野 正美)
↑ 久留米鶏頭)
☆ 「今夜はさあ秋刀魚を食べてよ」 魚屋のおじさんが言い 秋が始まる (川越市 原田 由美)
☆ 野分晴れ よく闘ひて 草木かな (養父市 足立 威宏)
☆ 春からは ブルートレインなくなりて ますます過疎になりゆく ふる里 (東大和市 久保 小八)
☆ やうやうに 水切る稲田 となりました (南栃市 池田 竹子)
☆ 葛は葛 芒(ススキ)は芒ではびこりて 秋風誘う 過疎の里なり (鳥取県 表 いさお)
↑ クズの花:秋の七草
☆ 蜻蛉の 風にも光る 翅なりし (大牟田市 古賀 昭子)
オゼイトトンボ →
☆ 逝く者を逝かしめ 月はゆるゆると 山より出でて 山に沈みぬ (夕張市 美原 凍子)
☆ 狛犬に リボンのごとく 秋の蝶 (伊万里市 萩原 豊彦)
☆ 曼珠沙華 咲きいる頃の夕まぐれ 「もういいかい」と 鬼の呼ぶ声 (松山市 吉岡 健児)