詩と写真のコラボレーション (2007 April)






 ☆ 連凧も 幼の凧も 風の中      (福岡市 後藤 啓之)









☆ 魚たち 私の横を泳いでる 水族館の 人ごみの中      (新城市 山口 明紀)

















☆ 山桜 山を謳歌し 山に住む      (たつの市 横田 保子)

















☆ 群馬県元群馬郡 相馬村字広馬場に 馬一頭も居ず      (群馬県 金井 昭作)









 ☆ はじまりぬ 心そぞろな 花の日々      (枚方市 石橋 玲子)









☆ 「ああとう」は いつしか ありがとうになる ことばのふたば いっぱいの春     (高槻市 有田 里絵)

















☆ 紫雲英(ゲンゲ)田に来れば 日本にある思ひ     (松本市 唐澤 春城)

















☆ 水槽の 内張りビニールの中に およぐまんぼうは 海の春をおもえり     (川越市 小野 長辰)









 ☆ 雪柳 風の百様 見通さず      (吹田市 宮崎 正)









☆ 菜の花の なんなんなだりの 野畑に のんのん日が差し 雲雀がうたう     (相生市 後藤 政基)

















☆ 一輪の 一輪こその 初ざくら     (上尾市 伊藤 ふじ子)

















☆ 一杯の珈琲だけで 三時間居させてくれた 店が潰れる     (松山市 吉岡 健児)









 ☆ 源平桃 ほころびて はや咲き分かれ     (横浜市 内田 ひろし)









 ☆ 寝顔には 正直ほっとしてしまう 三十分だけ ママを休もう      (高槻市 有田 里絵)

















☆ 曇り来て ミモザの色の 濃くなりぬ     (大阪市 塙 告冬)

















☆ 若草を 摘む仕草にて 犬の糞拾う 少女よ 紅梅の下       (茅ヶ崎市 相沢 孝七)









 ☆ 川上の 消息として 落椿      (奈良市 古賀 しぐれ)









☆ 真鴨にも 流れにまかす 生があり 後ろむきにて 二羽川くだる     (浜松市 松井 恵)

















☆ 菫ほど 小さき人に 生まれたし     (夏目 漱石)

















☆ 桃の花 知らずに過し二十年 ひいなも馴染む アメリカの春      (アメリカ 悦子 ダンバー)











 ☆ 桜餅 織部の皿に 咲きにけり      (旭川市 西内 久美子)









☆ フロリダの陽光浴びて 少しずつ 大リーガーの 顔に近づく       (アメリカ 久下 朋子)





















☆ かたくりの 花への道の 七曲り      (岐阜市 青山 武美)





















☆ モーツアルトの曲で 熟成されしという バナナ ゆっくりじっくり 味わう    (鳥取県 表 いさお)









 ☆ 桃の花 乳首くわへしまま 眠る      (名古屋市 日原 正彦)









☆ 子供らの 笑いさざめく声に似て 空に抱かるる 真白きこぶし      (横浜市 飯田 みずえ)





















☆ 揺れてゐる ランチタイムの 桜草      (福岡市 松尾 康乃)





















☆ 熱ある身 ふるわせながら バスを待つ 中年は ニートになる権利なく     (和泉市 増田 テルヨ)









 ☆ 春風駘蕩 紀州山寺 太子講       (和歌山県 峯 寿巳雄)

(キブシ)







☆ ほとけのざ キリストの国の 路の辺に 今年も青く萌え出でており     (ドイツ レシュニックチズ子)


(ほとけのざ)