お茶の時間 (2011 July)
☆ 天井画 夏の光を 流しけり (塩釜市 桜井 洋嘉)
☆ みほとけの 桃とすすりて いただきぬ (吹田市 笠行 信子)
☆ 道草を もう腹いっぱい 食ったのに デザートにまだ 海を見ている (垂水市 岩元 秀人)
☆ はよ行って 海底に旗 立ててこい (木津川市 山中 あきひこ)
☆ 博多より 友来て曰く 東京は 暑くて暗く 階段長し (東京都 夏目 たかし)
☆ 原爆を 忘れぬ夾竹桃 咲きにけり (島原市 中川 萩坊子)
☆ 見上げるか 見下ろすかの差 三千円 (千葉市 姫野 泰之)
☆ 風鈴の 熱あるごとく 鳴りにけり (川崎市 池田 功)
☆ じゅぎょうちゅう ふでばこの絵が おいしそう おなかがすいて しゅうちゅうできない (東京都 スイーツあかり)
☆ 枇杷つつむ 紙に入日の 射しにけり (柳井市 沖原 光彦)
☆ 農継ぎて 悩める甥は もだふかく 波止に竿振る 初夏のひとひを (宗像市 巻 桔梗)
☆ 一日の 威張った回数 ギネスもの (仙台市 猪又 義記)
☆ 色紙で 平和を願い 折りづるを いっぱい折って 幸せ飛んで (高知県佐川小4 篠田 雄斗)
☆ 香はなくも 匂うがごとき 濃紫陽花 (神戸市 瀬 正子)
☆ 八栗寺に 香煙たなびき 菩提樹の 花咲き満つる 五月雨の中 (高松 煙草谷 十三郎)
☆ のっぽビル伝いに 涼しい陰をゆく (高松 合田 敏行)
☆ 「記憶遺産」を はじめて知りぬ 作兵衛が 描きし炭鉱絵が 登録されて (丸亀 国土 秋弘)
☆ 観覧車 人を掬うて 夏空へ (平塚市 日下 光代)
☆ 春風は 呟くように 近づきて 一人遍路の 笠を揺らせり (阿南 森岡 圭子)
☆ 十薬や 十字刻みし 俘虜の墓 (新居浜 白鳥 佳正)
☆ 原発は 悪いものだと 言っていません 怖いものだと 言ってるのです (横浜市 田口 二千陸)
☆ 裏年と 慰め合うて 鱚の舟 (香川県土庄 遠宮 忠)
☆ 帰り道 むちゅうで自てん車 こいでたら わすれてしまった さっきのケンカ (笠間市 高野 真気)
☆ 夏めくや 胸の谷間の 見え隠れ (新居浜 石川 千代子)
☆ 輝きを 増す日に向けて 甲羅干す 太陽電池の やうな亀たち (岐阜市 後藤 進)
☆ 梅漬ける ひと日は 夫を支配下に (今治 正岡 英子)
☆ 年金者に 少し贅沢 福島産 サクランボ買う 今日のしあわせ (三重県 喜多 功)
☆ 指揮者の名 つけし通りや 若葉風 (横浜市 杉江 美枝)
☆ 起こし田に 水張られゆく じわじわと 青空の地図 拡がっていく (山口市 平田 敬子)
☆ 青鷺の 集中力を まのあたり (大牟田市 古賀 昭子)
☆ ごんごんと 唸る巨船の ひく水脈が はげしく乱る 関門海峡 (宗像市 巻 桔梗)