詩と写真のコラボレーション (2006 June)
☆ 日一日 紫陽花の青いろを増す 浮子ひとつ浮く ガリレオ温度計 (名古屋市 諏訪 兼位)
☆ 雨の糸 見え始めけり えごの花 (今治市 横田 晴天子)
☆ 西瓜食べ ぶつぶつと云ふ 円周率 (福岡市 中正 木治)
☆ 驚いた 如雨露の中に トカゲいて (吉川市 黒木 幸枝)
☆ 「生きているただそれだけが幸せ」 と微笑んで言う 我は嘘つき (所沢市 一木 ひで子)
☆ 原っぱにサッカーの子ら 雲の峰 (東久留米市 立沢 文江)
☆ 草を食むように 音立ててレタス食む 牧場の牛にも ドレッシングを (東京都 南澤 友絵)
(ヒレハリソウ:コンフリー:牧草)
☆ 牡丹の ほぐれそめしと 夫がよぶ (東京都 近藤 貞子)
☆ 樫の木の若葉 黄金に光れども 冥き葉見ており 愛せと迫らる (鳥取県 中村 麗子)
☆ ひとよさの 雨の牡丹に 鋏入れ (松原市 加藤 あや)
☆ 人間ができるまで 十七年か 七十ねんかは 人によりけり (小池 光)
☆ まっしろな 矩形の家の 窓に薔薇 (宣野湾市 下地 和夫)
☆ ありがとう ママに選んでくれたのね 繰り返すハグ それだけでいい (高槻市 有田 里絵)
☆ 五番まで 全部歌って 「夏は来ぬ」 (横浜市 神野志季三江)
☆ 谷川の せせらぎとなる地点にて 光を浴びて 猫柳あり
(熊谷市 内野 修)
☆ 山椒の若芽を噛むや 香のたちて 急に鰻が食いたくなりぬ (山形県 清野 弘也)
☆ 時という 謎めくものよ 時計草 (神奈川県 中島 さやか)
☆ 襟高く立てて どれもが水芭蕉 思い思いの方を見ている (岐阜県 青山 武美)
☆ 黒揚羽 人の気配に 振り向けば (横浜市 三澤 久美)
☆ 修繕のきかぬ 五体をなだめつつ 揺り椅子一日 件客商売 (山口市 弘津 敦子)
☆ 叱るまい 叱らぬつもり 子供の日 (徳島県 奥村 里)
☆ 牡丹寺訪えば 薄目の観音が 永遠みる如く 微笑み返す (新潟市 岩田 桂)
☆ 大好きな 大好きな人 ハナミズキ (光市 松本 秀子)
☆ くちびるに 蝶がとまったようだった 十七才の 初めてのキス (戸田市 江口 恵美)
☆ 天地の 二つに分かれ 田植かな (千葉市 本間 一也)
( 大文字山 四万十川市? )
☆ 散る日まで 芯みせぬまま 紅ほのかなる白牡丹が わが家に咲く (八王子市 相原 法則)
☆ 真っ赤なる ドレスを着たき程 緑 (市原市 斎藤 圭子)
☆ 級友は 私産むわと言いました モナリザのような ほほ笑み遠く (秦野市 小山田 裕紀)
☆ 春曉の 窓を開ければ 潮の香 (福井市 山崎 昌三郎)
☆ 小玉なる玉葱 春は葉ねぎにし 美味にし 冬越す 地祇の味する (長野市 関川 喜八郎)