詩と写真のコラボレーション (2010 September)
☆ 蔦紅葉 けふ十字架に 届きけり (松戸市 大井 東一路)
☆ パンの耳 捨てしを恥じぬ みみだけで 一日生きしとふ 歌人いづくに (成田市 神郡 一成)
☆ 瓢箪の 曲線よどみ なかりけり (姫路市 橋本 正幸)
☆ 月の夜を 珊瑚の卵は 潮に散り 羊歯の胞子は 霧に流るる (大分市 岩永 知子)
☆ 写真撮り合いて 踊り子なりしかな (徳島市 真鍋 万緑)
☆ 赤かねぇ 黄色かねぇと まな板の 小玉スイカに 大人も熱い (富山市 松田 由紀子)
☆ 選択は 小沢外科より 菅内科 (横浜市 竹中 正幸)
☆ かの時は捨て石 いまは要石 ウチナーンチュは 石にはあらず (新潟市 伊藤 敏)
☆ 揚花火 夜空リオめく カーニバル (伊万里市 荻原 豊彦)
☆ 稜線の そばに咲きいる 駒草に 小さな石の 小さな囲い (山口市 山本 まさみ)
☆ 銀河濃し 空は地球の ものならず (川崎市 堅山 道助)
☆ 数トンの 風を掴みて 傾きぬ 帆の曲面の 波に触るるまで (川崎市 藤田 恭)
☆ 夏は草 秋は秋草 引きにけり (福井市 佐々木 博之)
☆ 失業し 金がないから 棚経を 読みに来るなと 電話のかかる (三原市 岡田 独甫)
☆ コスモスの 風も束ねて 壺にさす (岐阜県垂井町 臼井 梅乃)
☆ 泣き虫で けっこうがんこで 甘えん坊 はねる音符の ような妹 (富山市 松田 梨子)
☆ 山寺まで 落ちてくるなり 流れ星 (宝塚市 三宅 侃)
☆ ねえちゃんは 今日から合宿 メロンパン2こ 食べちゃった なのにさみしい (富山市 松田 わこ)
☆ 流燈の 闇を押しつつ 遠ざかる (長岡市 長谷川 回天)
☆ 生の果て 険しき人は 穏やかに 優しき人は 夜叉になるとふ (徳島市 上田 由美子)
☆ 北斎の 驟雨を駆くる 心地かな (東京都 吉竹 純)
☆ すごいこと そらのえうなら くもみえる ふねはいちみり まちはおもちゃだ (笠間市 しの原 周)
☆ 夕菅と 星を増やして 野の暮るる (米子市 中村 襄介)
☆ パンツルックやめて ワンピで出勤を 始めてわかる 視線の本音 (尼崎市 南 はるか)
☆ 缶ビール 画架に痩躯の 裸婦素描 (熊谷市 時田 幻椏)
☆ 遠野にも ゲゲゲの鬼太郎 やって来て カッパの里を 盛り上げにけり (奥州市 大松澤 武哉)
☆ かりんとうのごと 日焼けせし 一塁手 (箕面市 沢田 美穂)
☆ 手のひらに クワガタのせて じっとみた きょ年の夏より 小さくみえる (笠間市 高野 真気)
☆ 薪能 石のごとまた 水のごと (熊本市 内藤 悦子)
☆ 四方神 四時間並び 見て帰る キトラ古墳に 初夏の満月 (宇治市 山本 梨子)