お茶の時間 (2011 October)
☆ 久久の ふるさとことば 聴く駅に 太陽光の パネル光れり (高崎市 野尻 道子)
☆ きのふわれら 芙蓉でありし 芙蓉の実 (みよし市 稲垣 長)
☆ 「馬吉」とう ひび割れかたむく 墓一基 遍路の旅に 果てし人かも (高松 細谷 ヨシ子)
☆ みな小さき 風を抱きて 草の花 (神戸市 玉手 のり子)
☆ 城の下 塩町魚町豆腐町 紺屋川には 金魚が泳ぐ (大和郡山市 四方 護)
☆ 一日も 生涯といふ 花木槿 (札幌市 出村 千明)
☆ 山畑で 目にとびこんだ 紫は みんな木通だ 手がとどかない (宮城県 須郷 柏)
☆ 秋ざくら 風の辻より 由布の馬車 (大分市 高柳 和弘)
☆ 人類は ゴミダシエンシス ヒマラヤへ 海へ 宇宙へ ハズカシエンシス (大津市 井上 賢三)
☆ 釣人と 一期一会の 秋惜しむ (飯塚市 釋 蜩蜆)
☆ 鳴き声の する方見れば 金木犀 あえかに薫り 抱卵の鳩 (山田 静)
☆ 笑へる日 やがて来る筈 石榴の実 (姫路市 蔭山 一舟)
☆ 上見れば 秋の雲なり 山見れば 夏の雲なり 葛の咲くころ (高松市 菰淵 昭)
☆ 天変の年の 子規忌で ありしかな (札幌市 岩本 京子)
◆ 霜月や 空也は骨に 生きにける (子規) (49番札所 浄土寺)
☆ だっこして 五分行けども 汗なしに とんぼや雲を 眺められるよ (高槻市 有田 里絵)
☆ 雲高く 山なほ高く 豊の秋 (大阪市 大川 隆夫)
☆ 故郷は 遠くにありて 此の頃は 白波のたつ 海の恋しく (高知 掛川 治保)
☆ 被災地の 気力漲る 新酒かな (川崎市 池田 功)
☆ 木に木の実 草に草の実 抱かせて 秋はまあろき ものらを愛す (福島市 美原 凍子)
☆ 酸っぱさは 妻の右の目 青蜜柑 (川口市 渡辺 修一)
☆ 震災後 初めて海に 船を出す 厳つい顔の 漁師が笑う (丸亀 図子 淳子)
☆ 縄文の 火炎のさまに 曼寿沙華 (堺市 奥村 英忠)
☆ 蝉しぐれ 降るこの朝 水瓶に 睡蓮の花 すっきりと咲き (西条 徳増 そめ)
☆ 秋の虹 またも首相の 代わりけり (横浜市 岡部 重喜)
☆ 幹の肌 さすりてやれば 花と葉が みめうにそよぐ くすぐりの木は (宗像市 巻 桔梗)
☆ ひやひやと 水吐く石の 仔獅子かな (厚木市 田中 啓介)
☆ 空中で 窓を拭くひと 三月の あの日みんなで 見上げたビルの (横浜市 原田 彩加)
☆ 絢爛と 芒輝く とき来たる (福津市 下村 靖彦)
☆ 中年の 恋はきりがなく 貪欲で 火が鍋底を 舐めるようなキス (神戸市 野中 智永子)
☆ 木道の 果ては花野に 沈みけり (米子市 中村 襄介)
☆ 営々と 原発進めて 来た党の 反省の弁 いまだに聞かず (丸亀 田淵 愛子)