詩と写真のコラボレーション (2008 Novenber)









 ☆ 太陽に 透けることから 薄紅葉      (渋川市 山本 素竹)










☆ 八王子ーー美しい名と 想いみる 君が栖むまち 吾が識らぬ市(マチ)       (福岡市 森 ジツ子)



















☆ 恋に泣く人も 鯛焼 買ひにけり       (春日部市 小野鹿角男)


















☆ 湧き水を ごくんごくんと 頂けば 乾坤の味、 蔵王山麓       (福島市 美原 凍子)










 ☆ 恋さへも かつこめと売る 熊手かな       (横浜市 永井 良和)










☆ 貴婦人と 乙女の違い 薔薇園の次に コスモスの 原に来たれば       (高松市 菰淵 昭)



















☆ 射し込んで 干柿の香の 朝日かな       (宝塚市 塩出 眞一)


















☆ おとなには なりたくなかった おさなき日 おとなになれず おとなになっている      (城陽市 山仲 勉)










 ☆ 楢(ナラ)檪(クヌギ)白樫の実の 品定め       (松原市 加藤 あや)










☆ ポッカリと 木立途切れて ソバの花咲く 陽だまりの 奥に家あり       (名古屋市 磯前 睦子)


















☆ 行くほどに 険しくたのし 紅葉山       (千葉市 笹沼 郁夫)

















☆ 散歩して 八戸港に 近づけば 鯖の匂いす 船の音して       (八戸市 山村 陽一)










 ☆ 海の色 はるかに里の 柿熟るる       (福津市 松崎 佐)










☆ 水紋は まことに静かに 広がりて ゆらり消え入る 鯉の大口       (豊中市 武富 純一)


















☆ 五十億の 民の一人や いわし雲       (今治市 横田 晴天子)

















☆ 初めての 競争なりし かけっこは 子にも親にも はじまりを告ぐ       (高槻市 有田 里絵)










 ☆ 廃村や 柿のすべてが 木守柿       (新座市 渡辺 真智子)










☆ また一つ 高層マンション 建てられて 月見ゆる道 また一つ減る       (鴻巣市 松橋 雅実)


















☆ どんぐりを 郵便受けに 置きにけり       (小諸市 小泉 博夫)

















☆ 鰯雲 空いっぱいに 押し寄せて 熊野の海の 藍は深まる       (新宮市 秋葉 正志)










 ☆ 蜻蛉の 目玉の動く 距離に入る       (和歌山県 かじもと 浩章)










☆ 踏切は カンカンではなく くゎんくゎんだと いってた あなたの秋が来ました       (四国中央市 岩永 知子)


















☆ 花のより 出でて花野の 香に気付く       (旭川市 大塚 信太)

















☆ みずからの 風葬望みゐるごとく 蟷螂網戸を 掴み離さず       (愛知県 林 成一郎)










 ☆ 菱の実の 鬼面押し合う 苞なりし       (大牟田市 鹿子生 憲二)










☆ 下刈りの 音冴ゆる利鎌に 切られ伏す烏瓜赤し 雑草のなか       (相模原市 中村 健次)


















☆ 色鳥の 色おくやうに 止まりけり       (川西市 上村 敏夫)

















☆ 「借香」と 秘かに呼びて ベランダに 出れば漂う 金木犀の香       (岡山市 山本 庸子)










 ☆ 晴を発ち 大秋晴の 山の駅       (長野市 縣 展子)










☆ 人肌の 酒の旨さを 知りたるは 上京三年 秋雨の夜       (町田市 古賀 公子)