詩と写真のコラボレーション (2009 April)
☆ ジャンボ機に 女性整備士 花菜風 (東京都 黒済 泰子)
☆ 前線を 視察するらし 廻り来て ヘリコプターは 花の上を飛ぶ (福岡市 大西 隼人)
☆ 帰りには 対岸歩みたき 桜 (多摩市 吉野 佳一)
☆ まんさくの 黄色よじれて 咲きにけり 器用不器用 紙一重にて (熊谷市 内野 修)
☆ 花むしろ 柱のごとく 欅あり (横浜市 秋田 春風子)
☆ 何気ない 一言だったり するのです 心の芯に 位置する言葉 (広島市 大堂 洋子)
☆ 春になり みんなやさしく なってゐる (東京都 藤森 荘吉)
☆ 説教と 引き換えに 配るパンならば 生きる為には 説教を聞く (ホームレス 公田 耕一)
☆ 終列車 見送る闇の 桜かな (いすみ市 塚本 哲司)
☆ ホームレスに なったいきさつ こそ知りたい 人それぞれの 人生がある (福山市 松波 美月)
☆ 春潮に 余生横たへ 氷川丸 (藤沢市 小田島 美紀子)
☆ 「怒らない子育て」 という本を買い 読む間もなくて また怒りおり (佐倉市 船岡 みさ)
☆ 大空の 光を掬ひ 花辛夷 (寝屋川市 岡西 恵美子)
☆ 獄中から 青テントから 歌々は 生きよと迫る 癌持つわれに (東京都 北條 忠政)
☆ 二太郎の ピンクの産着 さくら餅 (東京都 長岡 貝郎)
☆ 去年より 少し早いか 木の芽吹き アカメガシワの 新芽は赤い (東京都 池上 安則)
☆ 蜂の吸ふ 蜜のいかほど 犬ふぐり (徳島市 大塚 佐和子)
☆ いくらでも 女は強く なれるけど 強くなるほど 何故か哀しい (横浜市 滝 妙子)
☆ 耕して 光る大地と なりにけり (合志市 坂田 美代子)
☆ 農地とし 税金逃れの 梅林が 美しく咲く 枝も切られず (八王子市 菊地 威郎)
☆ 菜の花の 駅ゆっくりと 出発す (藤沢市 木村 みどり)
☆ 藪中に 潜める小鳥の 一羽あり 順光させば 瑠璃鶲(ルリビタキ)♂ (鳥取県 長谷川 和子)
☆ 一巡りして また若き 春来る (小山市 木原 幸江)
☆ 太陽に 見放されない 幸せよ 日向ぼっこの 猫と老人 (浦安市 白石 美代子)
☆ 返り討ち 騙まし討ちめく 余寒かな (横浜市 渡辺 萩風)
☆ 若いって そんなに得な ことなのか 言い返せずに 帰り来たりぬ (京都市 敷田 八千代)
☆ 暮らしむき 今も変わらず 猫柳 (川西市 上村 敏夫)
☆ かきどおし からすのえんどう ほとけのざ 畦をふちどる 紫の春 (防府市 尾辻 のぶほ)
☆ 犬までも 受験の朝を 迎へけり (横浜市 秋田 春風子)
☆ 手袋の 季節を越えて 素のままの 君の手握る 初めての春 (稲城市 湧波 努)