詩と写真のコラボレーション (2006 November)
☆ 一握の 菊を購ひ 帽目深 (広島県 宮本 悠三)
☆ 死に際に 檀徒が和尚を 思い出す そんな和尚に なれたらいいに (三原市 岡田 独甫)
☆ 取り残す 一つの柿の 高きかな (倉敷市 舟津 浩子)
☆ わが捉えきれざる 風になずさいて かすかにゆれる コスモスの花 (福岡市 宮原 ますみ)
☆ 初鴨に 湖は眩しき 波を敷く (福山市 広川 良子)
☆ 無言館出て来て 合歓を仰ぎつつ 黙せり小六、小四の姪 (大分市 宮添 忠三)
☆ この子等に 地球遺さむ 赤とんぼ (茨木市 大野 伊都子)
☆ オールこぎ終えし 勝利の男らは 声なきままに 皆空を抱く (秋田市 山田 愁眠)
☆ 一人 二人 そして三人 菊日和 (千葉市 松本 好勝)
☆ クワガタを 森へ還して 横浜へ 四歳の孫は 帰りゆきたり (高崎市 門倉 まさる)
☆ 我も亦 一日花よ 酔芙蓉 (佐賀県 池田 風比古)
☆ 風光る 夕べの葦むら 一人ずつ間隔たもちて 釣人はいる (東京都 進藤 多紀)
☆ 里山の 景なつかしく 烏瓜 (神戸市 玉手 のり子)
☆ 針金に 雁字搦めの 盆栽は 十一月三日 金賞を受く (豊橋市 佐々木 剛輔)
☆ みんなみな 木守柿にぞ なりたさう (取手市 増山 山肌)
☆ ろうそくを 三本立ててみたくなる パパも一歳 ママも一歳 (高槻市 有田 里絵)
☆ 搬入の済み たっぷりと 菊へ水 (姫路市 西村 正子)
☆ 泳ぎ来る 縮景園の亀たちの 鼻の穴暗く みな天を向く (倉吉市 坂本 佳子)
☆ こすもすや 示しがつかぬ 吾が肥満 (奈良市 大年 厨)
☆ きらめける 朝の光を汲み上げて 山の水車が 蕎麦を搗くなり (倉吉市 坂本 佳子)
☆ 裏山といふも 庭先 栗拾ふ (西予市 上甲 澄子)
☆ 五岳みな 空に浮かみて 青澄めり 下界は渦の白き雲海 (熊本市 高添 美津雄)
☆ 銀杏を 拾ひ歩きの 秋のひと (秦野市 熊坂 淑)
☆ 軍艦の 犇めく横須賀 ひとり来て 王者のようなイージス艦見る (横浜市 三浦 美智子)
☆ 癒えし眼に 彩眩しめり 秋薔薇 (西宮市 児山 綸子)
☆ いのししに 猿鹿熊も 里にきて りんごに梨に栗 荒らしゆく (沼田市 笛木 力三郎)
☆ 道草を誘ふ 通草の 口開けて (秋田市 浅利 恵子)
☆ 夏水仙 きつねのかみそり 彼岸花 葉を知らぬ花 咲きつぎて秋 (ひたちなか市 星 和子)
☆ 竜胆に もたれかかって 咲く野菊 (群馬県 加賀美 清馬)
☆ 東ティモールが載る 地球儀を買いにけり この国のなきは 半値なりけり (藤沢市 田中 修)