詩と写真のコラボレーション (2005 March)






 ☆ 日に昏み 月に紛れて 濃紅梅         (福岡市 深澤 朱美)







☆ 黙々と 妻がしまひゆく 春の雛 しまひきれざる 歳月があり     (水上 良介)


(↑ 御殿雛飾り  近江五個荘にて)














☆ そこかしこ 花の名札や 春の土        (東京都 佐藤 季男)

















☆ あたしのを 食べてくれるのが 嬉しくて あたしはいつも 少しだけ残す     (東京都 伊藤 夕緋)









☆ 泣く猿に 遠く犬吠え 涅槃絵図     (群馬県 酒井 大岳)









☆ 下の名を 君にはじめて呼ばれたり 未開紅とう 梅咲き初めて     (調布市 水上 美季)

















 ☆ 歩きつつ 横目を使ふ 冬桜      (熊谷市 鈴木 忠雄)



(河津桜・伊豆 → )











☆ 井戸水の どっと木桶に 注がれて 鯉がもみ合う 信濃路の春       (川崎市 平井 通武)









 ☆ 青丹よし 奈良の早梅 なべて白     (香芝市 橋本 博)







☆ 嫁にゆきて 娘のをらぬ雛まつり 白酒ならぬ 酒すこし飲む     (水上 良介)


(↑ 御殿雛飾り    五個荘・近江商人の里にて)














 ☆ 中天の 春の満月が 見てゐる      (秩父市 浅賀 信太郎)
















☆ 氷雨降る 奈良公園の 夕暮れに 角無き鹿ら 佇みており       (名古屋市 高須 邦夫)









☆ 道一つ違へて 梅の香に出会ふ       (神戸市 玉手 のり子)







☆ さよならの後に 気づいた恋心 まぶたを閉じれば まだ君がいる     (福岡県 中村 未央)









☆ 探梅の 先達の まだ行くつもり      (徳島市 鈴木 たみ)


(↑ 修善寺梅林にて)














☆ 石油焚き 原発燈し 作り出す大粒イチゴ 冬を彩る


                                      (長崎県 前田 一揆)
















☆ 小さく 小さく ちいさくなって 眠ります どこまでも独り 吹雪の夜は    (新潟県 太田 千鶴子)


(↑ 春の雪に見舞われた 金閣寺 05/3/13)






☆ 梅林の空 城の空 なほも空       (大阪市 塙 告冬)
(↑ 湯河原梅林にて)






 ☆ 雲間より 天使の梯子かかりいて 冬の入り江の しばし耀う        (佐世保市 山崎 夏子)


(↑ 鳥取砂丘にて)














☆ 茹であげし 花菜に酒の 夕べかな   (千葉市 本間 一也)

















☆ おんなにも 七人八人敵居て 朝な朝なに 赤き紅ひく        (横浜市 数又 みはる)









☆ 翼なき ものの如くに 鴨浮寝      (東温市 高石 幸平)







☆ 今日が峠 今日こそ峠 降る空を仰ぎて 今日も雪下ろすなり     (山形県 清野 弘也)

















☆ 暗き世に なぜか婚多き 春の来る     (つくば市 橋本 美知子)




(伊豆・稲取温泉にて →)














☆ つけまつげ、まゆずみ、くちべに 次々と少女化けゆく 昼の車内に    (丹波 真人)









  ☆ 梅咲いてしまひし 空の一変す     (龍ヶ崎市 今橋 眞理子)

(← 修善寺梅林にて)







☆ 百年経たる 古書籍届きたり インターネットのキー 押すだけで    (岐阜市 金子 秀重)


(↑ 千字文 明治25年第二版)