お茶の時間 (2015 May )
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My俳句手帖(復刻版)
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☆ 枇杷色の光の粒の只中で私は少し泣かうと思ふ (長野市 小山 美由紀)
☆ 日には白影には真白なるつつじ (岡山市 名木田 純子)
☆ 三線でデイゴの唄を奏でつつ水牛曳きは平和を祈る (宝塚市 河内 香苗)
☆ たんぽぽや銀河の眠る真昼時 (うきは市 江藤 哲男)
☆ ブロンズの裸婦像の髪三つ編みのあまれて夜の雨はしたたる (熊本市 垣野 俊一郎)
☆ 桃咲きてここに一村現はるる (新潟市 関根 靖子)
☆ 飛行機の嫌いな僕を地面からじっくり剥がすような加速度 (長野市 原田 浩生)
☆ フルートが聞こえて来さう春の湖 (鹿児島市 青野 迦葉)
☆ 水にちり地にちりゆきぬはなびらは風のある日も風のなき日も (福島市 美原 凍子)
☆ 激動の世を生きぬきて薔薇いだく (伊万里市 久富 千栄子)
☆ 下校途中ポツリ一粒降ってきたショパンの「雨だれ」メロディーこれだ (横浜市 高橋 理沙子)
☆ 口開けて春の投手は左利き (岡崎市 高橋 昌也)
☆ ナミブ砂漠西海岸に百万のオットセイ棲む魚あまた群れて (名古屋市 諏訪 兼位)
☆ 風予報残らず切られ庭牡丹 (市原市 鈴木 南子)
☆ 放された鯉を見ようと子と犬と同じ姿勢で水面を見る (日南市 宮田 隆雄)
☆ 雉住むと聞いた山には熊ん蜂 (松戸市 大谷 昌弘)
☆ いく皿も小さな点心細い腕で運ぶ乙女のような花水木 (東京都 上田 結花)
☆ 銅像に還らぬ月日緑立つ (福山市 広川 良子)
☆ プラモデル子と作るのが夢だった未婚息子の春のつぶやき (鎌ヶ谷市 久保 田鶴子)
☆ 墳丘にのどかな時の流れをり (相馬市 根岸 浩一)
☆ カンブリア紀のごとのんびりと暮らしているカブトガニは春泥被って (福山市 武 暁)
☆ 刃物屋の刃物談義や花の冷え (加古川市 森木 史子)
☆ 当麻寺・唐招提寺・久米寺も汚されしといふなつかしき寺 (横浜市 松村 千津子)
☆ 一匹の蛙に庭を明け渡す (岡山市 岩崎 正子)
☆ 春雨の弓道場に一人射る女子高生の白き矢の音 (諫早市 藤山 増昭)
☆ げんげ摘む子と首飾り編む母と (東かがわ市 桑島 正樹)
☆ 上方に井原近松あろうとも生きて聞きしは米朝噺 (羽曳野市 玉田 一成)
☆ 三越のライオン笑まふ其角の忌 (多摩市 吉野 佳一)
☆ 画架(イーゼル)と椅子が野原で待つ画家は地に膝をつき土筆摘みおり (吉川市 鈴木 征夫)
☆ 咲き満ちて散るを惜しまぬ桜かな (横須賀市 佐藤 博一)
☆ まだ暗い庭の香りはヒヤシンスなぐさめられてまた光待つ (四街道市 中村 登紀子)