お茶の時間 (2013 February )
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☆ 杞の憂い このことだったと 膝を打つ (さいたま市 福間 一郎)
☆ 蝋梅は 琥珀色した 莟(ツボミ)から ひいふうみいと 時間をほどく (松坂市 こやま はつみ)
☆ 百本の 白梅にして 一つの香 (島原市 中川 萩坊主)
☆ チチチチと 子鴨が親鴨 追い滑る 元荒川に 春はもうすぐ (蓮田市 青木 伸司)
☆ 奥秩父 歩み止めたり 仏の座 (立川市 清水 初太郎)
☆ 遠き日の 歌謡曲にて知りし アルジェリア 突如はだかる 現実として (舞鶴市 吉富 憲治)
☆ 鑑真の おん目開かば 寒椿 (神戸市 富田 寿)
☆ 四代の 母子が集う その不思議 マトリョーシカのようねと 娘は言う (那須塩原市 矢嶋 真里)
☆ 冥想の 深きところに 冬木立 (小山市 木原 幸恵)
☆ コンサート 舘野泉の 左手の 両手にまさる 音に聴き入る (三鷹市 高橋 紀子)
☆ 妻問ひの 跡荒荒し 御神渡り (東京都 伊藤 豊英)
☆ 特別の 用じゃないんよ 繰り返す 受話器の向こう 故郷の母 (西宮市 木野 英子)
☆ 気にかかる 正月のみの 景気かな (松本市 唐澤 春城)
☆ 猿の掌の 意外に冷たきに 触れて帰る 元日の朝 猿まわし見て (高松市 菰渕 昭)
☆ 空間に じっと待つてる 木の芽かな (横浜市 込宮 正一)
☆ えんぴつで 予定を入れぬ これよりも 良きことあらば 消すかも知れぬ (大阪市 谷口 真喜子)
☆ 喜んで ゐしは序の口 雪ごもり (田川市 山田 千恵女)
☆ 庭に来た 二羽のめじろが 木にさした 林檎をつつく 同じ仕種で (太宰府市 須田 紫野)
☆ 一月の 満月と妻 告げに来る (武蔵野市 水野 李村)
☆ 千両を 二本植えたり 今年こそ よい年になれと 正月三日 (広島県 底押 悦子)
☆ きしきしと 森羅万象 寒に入る (千葉市 谷川 進治)
☆ 冷えつのり 青木も万年青も 南天も 実を食われたり ひもじき鳥に (八王子市 青木 一秋)
☆ ひとつづつ 違ふる音の 除夜の鐘 (大阪市 友井 正明)
☆ 待ってゐる あひだはくるに ちがいない 人のことだけ ひたすら思ふ (川越市 小野 長辰)
☆ 雪吊りの 雪吊りらしき 雪となり (敦賀市 村中 聖火)
☆ サファイアの 指輪を埋めた ような眼で 石首魚(イシモチ)が見る 包丁の下 (横浜市 中川 節子)
☆ 福耳と いはれ霜焼 いち早く (山梨県身延町 上田 正久日)
☆ 砂時計の くびれの位置に われ立ちて 残り少なき 上を見ており (浜松市 桜井 雅子)