お茶の時間 (2013 April )
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【2002年】 12
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☆ 花なづな 一人取り残されし 丘 (市原市 鈴木 南子)
☆ アフリカが 噛みついてくる 飢餓の子の 大きな目玉 全部悲しみ (群馬県 小倉 太郎)
☆ しなやかに 生きる強さも 糸桜 (熊本県菊陽町 井芹 眞一郎)
☆ 散りをへし 梅の領土を むらさきの ヒヤシンス、 スミレ、ムスカリが占む (坂戸市 納谷 香代子)
☆ たんぽぽの やうなあいさつ する子かな (弘前市 千葉 新一)
☆ 半世紀 白一徹の 幣辛夷 力解けしや はんなり紅刷く (岐阜県 棚橋 久子)
☆ 切株や 遺恨のやうに 蘖(ヒコバエ)す (相模原市 芝岡 友衛)
☆ パレットの 絵の具に白も 混ぜこんで 絵の中の空 ちょっとほのぼの (横浜市 小林 理央)
☆ 花散って 城堀を 埋めつくしたる (熊本市 永野 由美子)
☆ たんぽぽの 葉を「食えるから食え」と言う ベトナム人に 習って食った (アメリカ 郷 隼人)
☆ のどけしや 紙飛行機も 飛んで来て (八王子市 中里 信司)
☆ 休耕田 ユンボの爪が 次々と 芹や野蒜を 剥ぎ取りてゆく (さいたま市 田中 ひさし)
☆ 霞とも 言ひ切れなくて 霞みをり (東かがわ市 桑島 正樹)
☆ 暗闇の 長き月日も 桃の日も 向き合うことなし 雛のめをとは (大和市 澤田 睦子)
☆ しなやかに 風を捌きし 柳の芽 (東京都 長谷川 弥生)
☆ こんなにも 緊張するんだ 私って 一番前の 真ん中の席 (富山市 松田 わこ)
☆ 年を取り候 花と言葉を 交わすほど (松江市 三方 元)
☆ レプリカの 一本松に 違和感を 覚えつつ見る テレビの画面 (高山市 斉藤 美代子)
☆ 願はくば 心にいつも 涅槃像 (八代市 橋野 信泉)
☆ 待っていた 春が来たのを 見届けて おひな様 みるみる眠くなる (富山市 松田 わこ)
☆ 雑草に しても不可も無し 野辺の春 (東京都 三笠 比呂史)
☆ テストの日 覚えたことを 一滴も こぼさないよう 水平に歩く (富山市 松田 梨子)
☆ 猫もまた 振りまはされる 恋の闇 (厚木市 熊切 三千丸)
☆ キッチンは 孤独な職場と 思う日や 私の城と 思う日のあり (アメリカ 久下 朋子)
☆ 木の芽もう 個性顕はに なつてきし (高松市 白根 純子)
☆ わた雪が わたしのほっぺで とけてゆく 私にちょっと 甘えたあとで (富山市 松田 わこ)
☆ 浮き浮きと 渡れば春の 川なりし (姫路市 黒田 千賀子)
☆ ひっそりと 上野の森に うなだれる 「カレーの市民」に 氷雨したたる (千葉市 田口 英三)
☆ 雪に生まれ 雪に育ちて 雪に泣く (札幌市 岩本 京子)
☆ 「あんたまだ冬やってんの?」 と マネキンが 白い素足を 自慢げに出す (三豊市 藤川 侑子)