お茶の時間 (2013 March )
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☆ なんでまた 一人で逝って しまったの 一人じゃ何も できないくせに (京田辺市 藤田 佳予子)
☆ ヒヤシンス 密かに香る 午後の部屋 (宝塚市 松井 由紀子)
☆ 愛という 言葉ではなく 恋という言葉でもなく 君は歳月 (豊橋市 中村 悦子)
☆ 片栗の 一花寂しと 群れて咲く (富士見市 新藤 征夫)
☆ 平成は四角 昭和は丸ポスト どちらも春の 雪が似合ひぬ (東京都 長谷川 瞳)
☆ 三月は フルーツポンチの やうに来る (東京都 相川 さら)
☆ だるま市 終わりし街の 白壁の 路地に残れる 地酒の匂い (伊那市 小林 勝幸)
☆ 満開と 見し紅梅に ある蕾 (富津市 三枝 かずを)
☆ 北国の 冬は寂しい アスレチックジムの ベルトにひとり 走る人 (名古屋市 加藤 武朗)
☆ 山里の 空へ紅梅 匂ひ立つ (福津市 松崎 佐)
☆ 船べりに 六杯連なり 上がりくる 肉厚美味なる 石花海のイカ (中央市 前田 良一)
☆ 句仲間は 皆んな賑やか クロッカス (藤沢市 小田島 美紀子)
☆ モンローと 同い年かと この義母の 曲がった腰に 膏薬当てぬ (東京都 菅谷 敏子)
☆ 次郎長の 町で鮪の 寿司食らふ (横浜市 宮内 和人)
☆ 弾き終わり ピアノと指が 話してる 「バッハはいいゼ」 「全くそうだ」 (富山市 松田 わこ)
☆ 空堀に 風容赦なく 野水仙 (大阪市 友井 正明)
☆ ジグソーの 最後のピース 見つけ出し 完成したる 君の横顔 (高垣 裕子)
☆ 房総の 海は球体 犬ふぐり (千葉市 愛川 弘文)
☆ 唐臼を 踏みつつ読みし 講談の 塚原卜伝 テレビ化楽し (和歌山市 山口 雅史)
☆ 吾妻山 妻ともに見し 菜花かな (東京都 御器谷 修)
☆ 山麓の 陽はやはらかく 白梅の 香に山兎 ぽんとあらはる (成田市 神郡 一成)
☆ 話ふと 子規に及ばぬ 実朝忌 (神戸市 日下 徳一)
◆ 大海の 磯もとどろに 寄する波 われてくだけて さけて散るかも 源 実朝
(鎌倉文学館)
☆ 巨大なる 冬の鶏舎に 黙々と 万羽の鳥が 無精卵産む (大和市 水口 伸生)
☆ 寒紅の 言はねばならぬ ことはいふ (北海道鹿追町 高橋 とも子)
☆ とんぼ玉 だいじにするねと 言った友 ふっつり逝きぬ なんにももたずに (奈良市 古味 直香)
☆ 沙羅選手 前世はきっと 鳥だった (横浜市 大坪 智)
☆ からす座を 羽ばたかせつつ 一点の 人工衛星 きたりすぎゆく (神戸市 有馬 純子)
☆ 「凄いな」の 中味が変わった あのランナー (戸田市 椎橋 重雄)
☆ ためていた パン屋のシールが まだ途中 そんなことまで さみしい引っ越し (東京都 上田 結香)
☆ 一万歩 歩きて一句 春隣 (鹿島市 松永 晃芳)
☆ 幾何学の 示す形と 無縁なる じゃがいも眺め いやされている (本庄市 福島 光良)