詩と写真のコラボレーション (2011 January)









☆ 東京に 行くことの無き 三両の ローカル電車 今日も頑張る        (島田市 小田部 雄次)










  ☆ 茫茫の 果ては断崖 冬銀河         (いわき市 馬目 空)










☆ 思い出す 記憶のように 百合鴎 ふいに越えゆく 北大路橋        (京都市 後藤 正樹)



















☆ 霜解けて 光の粒を 残しけり        (倉敷市 大槻 秋女)



















☆ 病む前の 明るい瞳 これもゴッホ 灰色のフェルト帽の 自画像        (川崎市 岡部 統子)










  ☆ 屠蘇ふふみ 関羽の豪気 思ひけり        (調布市 覚前 木月)










☆ 「なん買うとね」 「ナン買うとよ」 と孫娘 「ナンてなんね」と 笑う爺ちゃん        (福岡市 中尾 裕美)






















☆ 羽子板市 睨みに力 なかりけり        (松戸市 大井 東一路)






















☆ 寒鯉の 形崩さず くろがねの 巨船のごとく 回頭しけり        (高石市 木本 康雄)










  ☆ 霧しまき 神話を持たぬ 讃岐富士        (坂出市 溝渕 和幸)










☆ 一世紀余 経たる権萃 赤き実を たわわにゆらし 象の踏ん張り        (土浦市 内田 亮三)






















☆ 凩に ジャンヌ・ダルクの 銀杏かな        (東京都 たなべ きよみ)






















☆ 北限の 柚子の木に ゆず光りいて 吾妻小富士に 白きもの来ぬ        (福島市 美原 凍子)










  ☆ 凩や 十大弟子の 口の中        (横浜市 猪狩 鳳保)










☆ 象ヶ鼻、 鳥越峠に キリン沢 大山山系 白く眠れり        (鳥取県 長谷川 和子)
















☆ 大根の 裸のマハのごと まぶし         (埼玉県宮代町 酒井 忠正)
















☆ マンホール あれば踏みたく なる癖は 未だ治らず マンホール踏む        (鹿嶋市 榎本 麻央)










  ☆ 咳すれば ねずみ応ふる 杣家かな        (宮津市 橋本 知笑)










☆ ティファニーより ヘンケルスとか ティファールが 欲しいと思う 結婚二年目        (東京都 窪田 貴子)



















☆ 月光の 一本を 聖樹としたり        (杵築市 長野 なをみ)



















☆ 指先で 触れればびりっと 全身が 痺れるような 領土問題        (牛久市 伊藤 夏江)










  ☆ 公園の 遊具へ冬日 すべり落つ       (鳥取市 椋 則子)










☆ 龍馬以後 テンション高く 生きてきて 疲れをりたり わが日本は        (島田市 小田部 雄次)



















☆ 血の色に 耀ふ ポインセチアかな        (東京都 石川 理恵)



















☆ フェルマーの 最終定理 肴にし ジョッキ三杯 かたむける夜        (横浜市 道蔦 静枝)










  ☆ 冬夕焼 火の子のやうに 鶸の群        (可児市 金子 嘉幸)










☆ 花でなし 葉でなし フォックスフェイスとは 修行途中の 天使の作品        (神戸市 野中 智永子)



















☆ みささぎは 禁漁と知る 鴨ならん        (奈良市 名和 佑介)



















☆ 年の瀬は 日頃に増して 望郷の 思い募れり 冴ゆる星空         (スイス 柘植 要三)










  ☆ 秋の花 見てきし夜の 怒髪天        (藤沢市 河野 民枝)










☆ 天平の 琵琶のおもての 椰子の木や ラクダは螺鈿の 花群のなか        (箕面市 大野 美恵子)










2011年 明けまして おめでとう ございます