詩と写真のコラボレーション (2008 May)
☆ いっせいに 後期高齢と 大騒ぎ いいではないか みんなそう成る (札幌市 横川 満)
☆ 囀りは 緑の枝を 揺らしつつ (由布市 永淵 元神)
☆ 停車する 駅のホームの 薔薇の花 ふと揺らぎたり 人待つ如く (横浜市 吉川 米子)
☆ 藪椿 カガイの山に ひとり来て (宝塚市 塩出 眞一)
☆ ゆずりあうこともなけれど 奪いあうことなき 鳩は白きも黒も (ブラジル 山崎 治生)
☆ 色という 色を退け 白牡丹 (田川市 山田 千恵女)
☆ エレガントな 思想のような 数学を 銀杏の下に 君と語りき (鎌倉市 大西 久美子)
☆ 青空に 忘れたように 藤懸る (高槻市 会田 仁子)
☆ 雑踏に囲まれた ぬるい静寂を 聴いているのだ ペンギンとわれ (松戸市 花嶋 八重子)
☆ 咲き揃ふとは 競うこと チューリップ (徳島県 阿部 童心)
☆ 行く春の かすかな愁い 含みいて 白花みずき 赤花みずき (蓮田市 斎藤 哲哉)
☆ 牡丹に 風の狼藉 日もすがら (横浜市 橋本 青草)
☆ 「一度に餌は食えない」 と 亀の嘆ける 主の合格 (四万十市 島村 宣暢)
☆ 新樹にも 紅燃ゆる 色のあり (大阪府 辻 千緑)
☆ 二十五円差の ガソリンを混ぜて詰め 走る常盤路 いづこも桜 (ひたちなか市 篠原 克彦)
☆ チューリップ 明るき庭に 咲きにけり (芦屋市 田中 節夫)
☆ 遍路ゆく 里となりたり そら豆の 葉隠れに紫の 花咲きそめて (高松市 菰淵 昭)
☆ 惜しみなく 牡丹を観る 一と日 (姫路市 黒田 千賀子)
☆ 二朱銀が 八つで一両 些細だが 時代小説 メモしておきぬ (新城市 山口 明紀)
☆ 徒遍路 己が心を 歩きゆく (高松市 和田 和子)
☆ 心では 内部告発者を称え 口には出せず 飲み会終える (東大和市 久保 小八)
☆ ああこれも 又一本の 桜かな (金沢市 早川 晃治)
☆ 山に沿い 白き小花が 揺れながら 水を清めて 山葵田は春 (鳥取県 中村 麗子)
☆ 山奥の 神のお庭も 花ざかり (沼津市 中島 三千尾)
☆ そばにいて 欲しいときだけ そばにいてくれる君なら 好きにならない (京都市 敷田 八千代)
☆ それぞれの 色の化身の チューリップ (川西市 上村 敏夫)
☆ 死ぬまでに いくつの嘘を つくのだろう 赤い椿の ぽたりと落ちぬ (松戸市 花嶋 八重子)
☆ 満開の 花に埋め尽くされし 空 (盛岡市 浅利 清香)
☆ ふふふっと 二人笑って 春の日の カフェのテラスに ふふふが満ちる (京都市 敷田 八千代)
☆ 犬眠る たんぽぽ開き 閉ぢるまで (名古屋市 藤田 恭)
☆ 梢には 蕾ふくらみ 春の陽の 子の足裏のごとく やはらか (東京都 山筋 直子)