詩と写真のコラボレーション (2006 August)
☆ 錆びぬように 歩行欠かさず 四千歩の目標あたりに 百日紅燃ゆ (仙台市 下斗米 康平)
☆ 一日中 白夜の草原 牛の群 (鎌ヶ谷市 梅渓 由美子)
☆ 仮の世の 仮の宿とて ひとり家のさ庭に とぼすま白き芙蓉 (夕張市 美原 凍子)
☆ 睡蓮の 時刻覚えて をりにけり (大阪市 塙 告冬)
☆ 鬼の口に とびこむ一寸法師われ 朝の都会が ぐわーんと聳ゆ (和泉市 長尾 幹也)
☆ 大阿蘇を 透明にして 黄菅咲く (朝倉市 浅川 走帆)
☆ 森林の 沈黙のごとき 影もちて カレーの市民 夏空に立つ (東京都 長田 裕子)
☆ 午後三時 蜻蛉ばかりの 田舎駅 (群馬県 小倉 自閑)
☆ 丘の上に 榎茂れば おのずから 蝶通う道 人憩う径 (蓮田市 斉藤 哲哉)
☆ 朝顔の いのち短かし つるのばす (東京都 三谷 いちろ)
☆ 靖国のメモに 昭和を憶う日や 雨の切れ間に ひぐらしの鳴く (茨城県 渡辺 )
☆ 岩清水 靴にも浴びせて 登りけり (横浜市 藤田 和夫)
☆ 知床岬 巡れるバスに ガイドの声 シカ・シカ・ツル・ツルと 見付けて知らす (逗子市 堀家 艶子)
☆ 島の名を 聞いて忘れて 遊船に (東京都 大和 勲)
(知床 フレペの滝「乙女の涙」)
☆ 餌をねだる かもめに噛まれし薬指 かざせばしみる 初夏の潮風 (小田原市 後藤 宙司)
☆ 一色にして ひと色でなき 緑 (敦賀市 村中 聖火)
☆ 灯台が さながらマッチ棒に見ゆ 海辺の夏の 去り行く気配 (坂戸市 山崎 波浪)
☆ 熱帯魚 ものうき患者 みな遠目 (東京都 保坂 晃宏)
☆ 展望車に カナダの北斗見上ぐれば 不意にきらめく 故郷樺太 (東京都 片山 雅子)
☆ 湿り来て 滝音の 領域に入る (奈良市 古賀 しぐれ)
(知床 オシンコシンの滝 →)
☆ 「真ん中だ」「真ん中です」 と言い張れど 右か左に 振り分けられる (豊川市 河合 正秀)
☆ 花もなき 草むらの 夏の蝶ひとつ (札幌市 田上 万司)
☆ ふええんと 一声泣いて また眠る 夢の中まで 行けなくてごめん (高槻市 有田 里絵)
(中富良野 ファーム富田のラベンダー畑)
☆ 夏木立 声こだまして 通るかな (西脇市 村上 初子)
(知床 カムイワッカ湯の滝 →)
☆ 騒がしき フラミンゴの檻に 同居して ハシビロコウは 尊厳保つ (東京都 松本 秀三郎)
(旭山動物園)
☆ 蟻一つ 花心の蜜に 溺れおり (兵庫県 小林 恕水)
☆ 赤みおぶ 長野の酸塊の熟す季の 甘さ酸っぱさ ふるさとの味 (館山市 大場 ヤス子)
☆ 箱庭に 水の流れて 傾ぐ橋 (東京都 野間 泰子)
(函館 大沼公園 →)
☆ ヨコスカは ミサイル発射管すえ付けいる 軍艦泊める 四季をとおして (横須賀市 梅田 悦子)
☆ 睡蓮の蕾 いまだに 泥まとふ (守谷市 桶田 妙子)
☆ 日本よ 裸に似たる女 来る (名古屋市 青島 ゆみを)