詩と写真のコラボレーション (2008 August)
☆ まるまると まるめ まるめよ わが心 まん丸 丸く 丸く まん丸 (木喰上人)
☆ 蓮咲いて 濠に高さの 生まれけり (福岡市 松尾 康乃)
☆ たたかいに 敗れし昼の 夾竹桃 葉月八月 過去おもう月 (福山市 武 暁)
☆ 風鈴の 形いろいろ 音いろいろ (習志野市 早川 高士)
☆ ふるさとの 盂蘭盆楽し 幼名で呼ばれ 踊りの輪に 入りけり (宇治市 山本 明子)
☆ 判定が 一つの夏を 終わらしむ (横浜市 田口 二千陸)
☆ 厚切りの トーストのような 麦畑の 脇の舗道を 自転車で漕ぐ (北海道伊達市 今 奈奈)
☆ 消去法 己も消して 雲の峰 (長崎市 犬塚 元子)
☆ 鍵盤を 下から上へ 拭きあげて ぽろんとひろう 音の名を呼ぶ (ドイツ 西田リーバウ望東子)
☆ 尺取の 天狗の鼻を 測りをり (八王子市 大串 若竹)
☆ 呼び出し音 今日も鳴らずに 日が暮れて 充電器におさまる 携帯電話 (東京都 伊藤 緑)
☆ 惑星の 一つに住みて 田草取る (奈良市 杉田 菜穂)
☆ 山深く 球磨川沿いに ひた走る ふるさと行きの 一両列車 (熊本市 徳丸 征子)
☆ さよならと 分かれた後の 蝉時雨 (盛岡市 浅利 清香)
☆ 人は誰も かなしみの 壺いだきいる かなしい時は つぼが傾く (四条畷市 中嶋 テル子)
☆ 止まってしまった 時計を巻いて 星祭 (オランダ モーレンカンプふゆこ)
☆ 爪を研ぐ なめるひっかく まといつく けだるい朝の 愛という猫 (諸田玲子)
☆ 地下道も 鬼灯市の 行き来かな (東大和市 板坂 壽一)
☆ 百万の Firefly が飛ぶ夜を 愛し合うなら 灰になるまで (京都市 敷田 八千代)
☆ サングラス かける仔細の ありにけり (沼津市 中島 三千尾)
☆ ポイントに 挟まれたりし 亀あわれ 片付けられて 列車は走る (川崎市 船山 登)
☆ 睡蓮の 赤が要となる 水面 (鳥取市 椋 誠一郎)
☆ 焼き鳥屋の 口に貼られし 求人の 正社員とう 正の字太し (町田市 冨山 俊朗)
☆ 夕焼の 乾坤めぐる 観覧車 (大竹市 見上 木地草)
☆ あと二日 あと一日で 終わるよと サミット警護に行きし 子に言ふ (花巻市 多田 愛弓)
☆ すぐ口に 入るるは惜しき さくらんぼ (米子市 大橋 鼠洞)
☆ 「里帰りうなぎ」 と聞けば 親しみの増すやうな 輸入うなぎの偽名 (加賀市 敷田 千枝子)
☆ 身構へて 幼児跳び越す 茅の輪かな (米子市 村尾 孝元)
☆ 天地の 息に合わせて ゆっくりと キンデルダイクの 風車は回る (八尾市 水野 一也)
☆ 自販機のように お礼を言いなさい (国分寺市 斉藤 光雄)
☆ 牧草ロール 三百転がる 草地より 雪まだ残る 利尻富士見ゆ (稚内市 藤林 正則)