詩と写真のコラボレーション (2009 September)
☆ 雑草の 宿りたのしめ 虫のこゑ (名古屋市 青島 ゆみを)
☆ 一票が こんなに力が あるんだと つくづく思う またしも思う (山形県 黒沼 智)
☆ 青柿の 熟るるを待てぬ 鴉かな (柳川市 木下 万沙羅)
☆ 川の辺に 鳥、蝶、トンボ、 子らのいて ちさきものらが 水かがやかす (福島市 美原 凍子)
☆ 秋夕焼 大地を燃やし 尽くしたり (北海道 高橋 とも子)
☆ 決めたのは わたしたちです 覚悟して 四年の間 観ていきましょう (青森県 一ノ渡 綮)
☆ 帰省子の 止めある 大型バイクかな (京都市 林 達男)
☆ 八月は 史実が一つ 加わりぬ 暴力の無き 平成維新 (名古屋市 木村 久子)
☆ 赤トンボ 青い地球に 浮いてをり (飯塚市 梶原 健伯)
☆ 山嶮し 人また靭(ツヨ)し 剱岳に 三角点立てし 明治四十年 (名古屋市 諏訪 兼位)
☆ コスモスの 風に喘いで をりにけり (北海道 高橋 とも子)
☆ 便利さに 慣れてしまって よいものか ウォシュレットは 魔物と思う (広島市 根石 妙美)
☆ 登らねば 見えぬ大景 山の秋 (枚方市 石橋 玲子)
☆ 二十発の 花火の揚がり 牛飼いの村の 短き夏が 終わりぬ (稚内市 藤林 正則)
☆ 図書館は 吾が本箱よ 蝉しぐれ (光市 梅田 智津子)
☆ 老婆とて 紅一本は 持ってます 何かわからぬ 良き日のために (伊東市 奥野 彰子)
☆ ごきぶりに これほど闘志 いだくとは (岐阜市 中島 弘子)
☆ コンピューターには わかるまい 生き物が 獲得してきた 「忘却機能」 (新潟市 太田 千鶴子)
☆ 蓮の葉に 蓮の花びら こぼれゐし (横浜市 杉江 美枝)
☆ リンカーンは アメリカンコーヒー 三杯と 唱えつつ書く 今日の鬱の字 (新座市 中村 偕子)
☆ 夏蝶の死に 女優の死 重ねたり (武蔵野市 相坂 康)
☆ はっきりと 余命宣告 されている アナログテレビと ひっそり暮らす (岡山市 光畑 勝弘)
☆ 赤とんぼ 平和な国に 生まれ来て (飯塚市 釈 鯛蜆)
☆ 一樹伐れば 一樹が占むる 光生み 間伐材に ひかり滲み来 (相模原市 中村 健次)
☆ 秋蝉の 声の途絶えし 峡の風 (熊本県 井芹 眞一郎)
☆ 昼すがら 夜すがら香る 干し梅を あすは満ちなむ 月が照らせり (宗像市 巻 桔梗)
☆ 風鈴は 隅田の風の 音色かな (立川市 越智 麦秋)
☆ それぞれの 職場の匂ひ 持ち来ては 祭囃子の 稽古始まる (大牟田市 鹿子生 憲二)
☆ 百日紅 咲くかぎり臥し 母逝きぬ (千葉県 市村 孝子)
☆ 日の丸と 替えて食べたる ウズベクの 美味しき葡萄の 味を忘れず (帯広市 吉森 美信)