詩と写真のコラボレーション (2010 November)
☆ 大輪の 菊持ち込まる 無人駅 (大津市 西村 洛葉)
☆ 七分間の シャワーあるを 知りてより 湯に浸かるたび 君を思いぬ (池田市 森下 文子)
☆ 山の名は 知らず紅葉に 遊びけり (豊田市 沢田 マサ子)
☆ 恋話 いつも聞き役 わたしには 失恋さえも 眩しいひびき (八王子市 青木 凪)
☆ わが胸の 八達嶺の 良夜かな (山口市 秋吉 康)
☆ ちょきはまだ できないけれど 吾子の手は ちゅうりっぷにも 羽にもなれる (高槻市 有田 里絵)
☆ 金閣の 金のかけらか 落葉籠 (和泉市 白井 恭郎)
☆ 子供らの ユニフォーム洗う わが日々に まだ着る側の 伊達公子あり (佐倉市 船岡 みさ)
☆ 甲斐駒に 向けて恵みの 柿を干す (多摩市 山崎 享)
☆ 日当たりて 柿はたわわに 風ありて トランペットの 花はぶらぶら (熊谷市 内野 修)
☆ 慌て来る 紅葉一きは 美しく (松本市 唐澤 春城)
☆ 夕時雨 音もなく降る 獄庭に はぐれ雁の 一羽降り立つ (アメリカ 郷 隼人)
☆ 何の木か その楚々として 葉を落とす (栃木県壬生町 あらゐ ひとし)
☆ 駅前の ポストは知ってる 私の 報われなかった 履歴書の数 (東京都 平井 節子)
☆ 乱れつつ 咲き誇るなり 枝垂萩 (横浜市 渡辺 萩風)
☆ 鹿の目は 一体どこを 見ているの? ぼーっとしてる だけなのね(笑) (北見市 平川 なつみ)
☆ 一本の 詩精神として 秋桜 (三郷市 岡崎 正宏)
☆ 狂うごと アフリカ太鼓 打ち鳴らす 青年ひとり 月の河原に (春日部市 藤縄 七重)
☆ 風よりも 風のごとくに 糸とんぼ (川西市 上村 敏夫)
☆ 玉入れの 玉を数える 声透る 観客席も つられ声上ぐ (京都市 高橋 雅雄)
☆ 源平の 布陣めきたり 曼珠沙華 (瀬戸市 清澤 幸男)
☆ 汚れたる 聖書のごとく 繰返し 車谷長吉 読む是非もなく (大阪市 山下 晃)
☆ 笑栗を 打たずくすぐり 落とすかな (羽村市 寺尾 善三)
☆ モーツァルト 聴かせたという 地ビールが 冷えるのを待つ 「魔笛」を聞いて (富山市 松田 由紀子)
☆ あのころは 運動会に カマス鮓 (福岡市 鹿毛 寛久)
☆ 見つめ合う ごとに更新 されてゆく あたためた言葉 君の輪郭 (厚木市 藤野 佳世子)
☆ 砂浜に 今朝の足あと 秋の暮 (大阪市 坂本 守)
☆ どんぐりと 我にあだ名を 付けし娘の メールの署名に 子どんぐりとあり (東京都 海老根 清)
☆ 街中が 金木犀に うなさるる (柏市 宮本 次雄)
☆ 秋深し 京都名所の せめぎ合い 関西(ナンジャク)言葉 関東(コウゲキ)言葉 (高槻市 奥本 健一)