☆ いつからか 雲は秋なり 雨こぼす （安曇野市 曾根原 幸人）☆ ハッチョウトンボ この小さきも この星の谷間に住む 縄張り競う （伊那市 小林 勝幸）
☆ 最北の岬を 忽と 夏の霧 （高槻市 日下 總一）
☆ 一斉に 帆の峰雲へ傾いて ヨットレースの ターン始まる （大牟田市 鹿子生 憲二）
☆ 佐比売野の 露踏み 句碑を訪ひし旅 （坂出市 溝淵 和幸）☆ 教科書に 切り捨てられし 円周の端数が 銀河に煌いている （春日部市 小寺 庄吉）
☆ 凌霄花に 秋の通ふか 風見ゆる （ 恒丸）
☆ 山鉾の 辻回し見る人垣に 混じる刑事の 眼が光る （京都市 吉岡 節雄）
☆ 蓮浮葉 光の粒の きらきらと （府中市 岡村 美智子）☆ 水槽を 回るマグロを 仰ぐとき 笑顔ゆらゆら エイがよぎりぬ （ひたちなか市 篠原 克彦）
☆ 滴りは 富士霊水でありにけり （東京都 田治 紫）
☆ 虎尾草も 狗尾草も 少年の時のごとくに 触れてくるかな （青梅市 津田 洋行）
☆ カナブンブン 飛べば 怒りに充ちたりき （東京都 保坂 満）☆ パスカルも カントも 教えてくれなくて 愛され方が まだ分からない （京都市 敷田 八千代）
☆ 公園の 広さはみ出す 蝉時雨 （神戸市 玉手 のり子）
☆ 向日葵を ここのつ、とお、と 数える度 夏の空が ぐんと広がる （札幌市 土屋 由紀子）
☆ 空を飛び 水を走って 水馬（ｱﾒﾝﾎﾞｳ） （嘉麻市 江崎 義人）☆ 君の周りを 囲む空気が 好きだから 一緒に居たい なんて言えない （京都市 敷田 八千代）
☆ 襖絵に しばし涼むや 柳の間 （さいたま市 佐藤 勇次郎）
☆ テレビ指し 赤ちゃんと言う 吾子はもう 子供になってしまったらしい （高槻市 有田 里絵）
☆ はやばやと 明け はやばやと蝉の声 （小郡市 臼井 道義）☆ 人よりも 人らしくある 彫刻の間を ゆらゆらと 人は行き交う （行橋市 木村 葉子）
☆ 台風に揉まれて 百合の一花咲く （海老原 乙鳥）
☆ 海底にいならぶ 雲丹のしずけさの 試験場なり 開始後五分 （東京都 鶴田 恵一）
☆ アイスクリーム舐め 白山を 遠望す （京丹後市 荻野 天橋）☆ キタキツネ ゆんべお庭に 忘れもん ほろほろ咲いた 狐のてぶくろ （夕張市 美原 凍子）
☆ 半夏生 古文書にみる 水争い （坂戸市 佐藤 すみ）
☆ 雑草と 呼ばれています 五弁花の ちさきちいさき 声に聴き入る （夕張市 美原 凍子）
☆ ブロンズの 少女も駆くる 驟雨かな （高萩市 小林 紀彦）☆ １の次は２にしか ならぬはずなのに 出生率の 小数点以下 （高槻市 有田 里絵）
