詩と写真のコラボレーション (2008 March)
☆ 春禽の 声の中より 日の生まる       (岡山市 名木田 純子)
 
 ☆ 寒椿 一輪落ちて 日向かな       (岸和田市 高槻 銀子)
 ☆ 寒椿 一輪落ちて 日向かな       (岸和田市 高槻 銀子)
☆ わが妻は 鏡に向かい 可愛いと 自分で自分に 言いて出てゆく      (成田 公一)
 
 
☆ 水温む頃の 別れと 記憶せむ      (高槻市 会田 仁子)
☆ もののふの 八十(やそ)少女らが くみまがふ 寺井の上の 堅香子(かたかご)の花
          (大伴家持  万葉集)
 
 ☆ 近づけぬ 処にばかり 猫柳       (松原市 加藤 あや)
 ☆ 近づけぬ 処にばかり 猫柳       (松原市 加藤 あや)
☆ コーヒーが 三杯となる テーブルで 九州旅行に 草千里入れ      (相模原市 小林 知美)
 
 
☆ 機関区の 鉄にほふ 余寒かな      (刈谷市 山本 泰弘)
☆ 艦と船 二つの文字を くらぶれば 船という字の 悲しき脆さよ      (武蔵野市 岡 君代)
 
(イージス艦あたごと 沈没させられた漁船・清徳丸)
 ☆ 山茶花の 散り際という 見頃かな       (宮若市 菅井 久美子)
 ☆ 山茶花の 散り際という 見頃かな       (宮若市 菅井 久美子)
☆ 国策に 子を負い 植えし杉檜 うっそうと繁り 花粉にけぶる      (栃木県 山名 ユキ)
 
 
☆ せせらぎの 唄ひはじめし 浅き春       (西宮市 吉田 邦男)
☆ この子らの おしりの青さ 褪せるころ 私の母親時代は 終わる      (広島市 志喜屋 美穂)
 
 ☆ 花種の 袋は空に 等しかり      (泉大津市 多田羅 初美)
 ☆ 花種の 袋は空に 等しかり      (泉大津市 多田羅 初美)
☆ まんさくは まず咲く花と 言う君の 世を去りて 先ずまんさくが咲く      (久喜市 田代 久江)
 
 
☆ 冬すずめ まずアンテナに あつまりぬ      (久慈市 和城 弘志)
☆ ひとりごと ぽそりこぼして 昏るる日の ぽそりが 部屋のすみっこにいる      (夕張市 美原 凍子)
 
 ☆ 風船の ためらふように 手を離れ      (茨木市 瀬戸 順治)
 ☆ 風船の ためらふように 手を離れ      (茨木市 瀬戸 順治)
☆ おずおずと 主張するらし 若者は 「自分的には」と 目をそらし言う       (小平市 北野 宏太)
 
 
☆ 菜の花へ 太平洋の 日の出かな      (松戸市 大井 東一路)
☆ 誰かいるような 気がして 振り向いた 二月の街は みんな一人だ      (京都市 敷田 八千代)
 
 ☆ はじまりの 一輪なりし 寒の梅      (今治市 横田 晴天子)
 ☆ はじまりの 一輪なりし 寒の梅      (今治市 横田 晴天子)
☆ 梅が香に ただ歩くのみ きのうより 今日の日ざしの 濃しと思へり      (東京都 石田 康子)
 
 
☆ よきことの ひとつに春の 来ること      (和歌山市 見奈美 輝彦)
☆ 携帯のGPSは わが位置を示せど ここはまるで 「猫町」      (大阪市 末永 純三)
 
 ☆ 鳥どちと 行き交うばかり 梅真白      (福津市 松崎 佐)
 ☆ 鳥どちと 行き交うばかり 梅真白      (福津市 松崎 佐)
☆ やさしさを スケッチできず 溜息をつけば 地蔵さん 微笑んでおり      (いわき市 馬目 弘平)
 
 
☆ あくる日は 跡形なき 春の雪      (東京都 藤森 壮吉)
☆ 和太鼓の 陰より 鬼の現れて 髪振り乱し 激しく打てり      (東京都 松本 秀三郎)
 
 ☆ 一輪に 梅漲って 来たりけり      (横浜市 秋吉 斉)
 ☆ 一輪に 梅漲って 来たりけり      (横浜市 秋吉 斉)
☆ 線以上 固体未満の 立ち姿 自転車ならぶ 駅前の灯に      (和泉市 長尾 幹也)
