詩と写真のコラボレーション (2009 January)
☆ 知り合って その日のうちに 好きですと 言えるあなたは 二十一才 (奈良市 杉田 菜穂)
☆ 新宿の ビルは 光の霜柱 (栃木県 榎本 全利)
☆ 朽ち割れつ 円空仏は みぎひだり 溝を広げて 二つ御仏 (岐阜市 後藤 進)
☆ 獅子舞の 口よりこぼる 笑顔かな (横浜市 秋吉 芙佐子)
☆ 日本にも オバマ旋風 巻き起これ みんな待ってる 頼れる首相 (高1 松村 かおり)
☆ 竜安寺 石のごとくに 日向ぼこ (西宮市 吉田 邦男)
☆ 聖書読む ことなき人の 灯したる 聖樹美しければ 切なし (横浜市 飯島 幹也)
☆ 駅で逢い 駅で別れて 去年今年 (大竹市 見上 木地草)
☆ 子の好きな ものにポストが 加わりて ママ専属の 投函係 (高槻市 有田 里絵)
☆ 落葉掃く 千手のちから 借り申し (群馬県 酒井 大岳)
☆ 石段に しだるる楓が 本殿の 玻璃戸に映る 拍手打てば (西条市 亀井 克礼)
☆ 親猫に 仔猫は宝 隠しけり (神栖市 星 美愉)
☆ 型紙の 配置を終えて 裁断する 第一鋏の 音は重かり (静岡市 大沼 二三枝)
☆ 折々に 筆談もして おでん酒 (横浜市 本多 豊明)
☆ 山峡の 山葵田の冬 キセキレイ一つ 尾を振る 日暮れのリズム (伊那市 小林 勝幸)
☆ 手が紅くなる 大根が 白くなる (渋川市 山本 素竹)
☆ 無人駅 幾つも過ぎて 行く旅の 目当ては蟹と 猛る白波 (舞鶴市 吉富 憲治)
☆ 大雪吊と 思う 東京タワーかな (東京都 田中 隆)
☆ 就きたるを 時々悔いし 僧職に 月日重ねて 今は満たさる (三原市 岡田 独甫)
☆ 海峡に 仕事始めの 霧笛鳴る (大串 章)
☆ まんなかに 幼なをはさみ 手をつなぐ 後ろ姿を 撮ってください (高槻市 有田 里絵)
☆ 風を切る 真白き羽の 破魔矢かな (長谷川 櫂)
☆ 照れながら 息子がつれて きたひとは やさしく話す 京のことばで (越谷市 黒田 祐花)
☆ 龍の玉 採る童(ワラン)べも 龍の玉 (松江市 三方 元)
☆ 古釘の 錆を拭いて 今年また いつもの場所に 輪飾り掛ける (神戸市 内藤 三男)
☆ 千年の礎石に 今日の 落葉降る (奈良市 古賀 しぐれ)
☆ 25冊の 短編集を 編んできた 銀婚式の あなたと私 (越谷市 黒田 祐花)
☆ 栗鼠が来て 人間が来て 胡桃の木 (熊本市 南野 幸子)
☆ ある時は あなたの春で ある時は夏、秋、冬で ありたし我は (京都市 敷田 八千代)
☆ 輝きに 磨きかかりて 冬の星 (八尾市 米澤 江都子)
☆ 時計の針 いつもより速く 動くなら それは恋だと 友達が言う (名古屋市 山口 朋美)