詩と写真のコラボレーション (2008 July)
☆ 紫陽花の 樹雨涼しや 境内の 隅にちひさき 地蔵目を閉づ (宗像市 巻 桔梗)
☆ 七夕に 今年の風を 飾りけり (立川市 越智 麦州)
☆ 捻花の 螺旋階段 のぼりゆき 天道虫が 夏空に発つ (福山市 武 暁)
☆ 葱坊主 指に弾きて その音聴く
我が野遊びの 慰めとして
(舞鶴市 吉富 憲治)
☆ あの海を まだ忘れない 君の名で 泊まりし宿の 夜の潮音を (カナダ 堀 千賀)
☆ 玉垣や 朝顔の蔓 強かに (東京都 大谷 儀一)
☆ 天引きの不平を 一身に浴びている 郵便局の 窓口係 (西海市 前田 一揆)
☆ 掛かるもの 雨粒ばかり 蜘蛛の糸 (松原市 加藤 あや)
☆ ウィンドウの 金管楽器の 渦巻きが 幾つも夏を 重ね折りする (横浜市 桑原 由吏子)
☆ これ以上 咲けぬと言ひし 七変化 (熊谷市 鈴木 忠雄)
☆ ヒッコシハマダカ、 マダカと雀らが ゆくな、ゆくなと 山鳩が鳴く (夕張市 美原 凍子)
☆ 梅雨雲が またも隠すか 空の青 (西宮市 竹田 賢治)
☆ 神様と 風の機嫌もあるだろう 一秒を百で刻んで 走りを競う (武蔵村山市 広川 嘉子)
☆ けふよりは 涙の色に 七変化 (東京都 野間 泰子)
☆ 携帯の「圏外」 少し嬉しくて 地下一階の 哲学講義 (京都市 敷田 八千代)
☆ 衣更へ 恥ぢらひ 覚え始めけり (西海市 前田 一草)
☆ はつなつの 小さな矛盾 恋人でなくても 君と一緒にいたい (京都市 敷田 八千代)
☆ 下闇の 入口なりし 仁王門 (高松市 白根 純子)
☆ 子の声は 丘の上まで 呼びに来る ママのわたしが 濃くなってゆく (高槻市 有田 里絵)
☆ 田植とて 今は浮苗 挿せるのみ
(福島県伊達市 秋葉 美流子)
☆ 寸寸を 何と読むかと 娘の問いぬ 秋葉原悲し ずたずたと読めば (名古屋市 諏訪 兼位)
☆ 栗の花 丹波一国 匂ひけり (寝屋川市 岡西 美恵子)
☆ 父の日は ひとり野に出て じゃがいもを 掘るとふ 小さき宇宙に遊ぶ (神戸市 内藤 三男)
☆ 蕨取りしてゐて 地震に 呑まれしと (横須賀市 菅沼 ひろし)
☆ かくなれば 一糸纏わぬ 水着こそ 平等なりと 一人笑えり (相模原市 高橋 司好)
☆ 山法師 正論吐きて 孤独なる (北九州市 伊藤 信昭)
☆ わが家なら 吉兆するが 当たり前 おとついの残り 今朝も食べたり (横浜市 田村 泰人)
☆ 天降りくる 神の恋かと 蝶二つ (西宮市 山根 節子)
☆ 鎌一丁 研いで励めば はつ夏は ゴミムシの匂い ドクダミの匂い (新潟県 太田 千鶴子)
☆ 地球てふ 宙の一滴 涼しかり (横浜市 日下野 禎一)
☆ 水無月や 紫陽花咲いて 摩なる文字 淡く書きそむ 般若心経 (東京都 長田 裕子)