詩と写真のコラボレーション (2010 August)
☆ 大玻璃戸 青田の景を 一枚に (西宮市 児山 綸子)
☆ ハマナスや プラットホーム だけの駅 (伊賀市 西澤 与志子)
☆ ウォーキング、 メタセコイアの 樹立抜け 水沼にしばし 水鳥を待つ (横浜市 松坂 あき子)
☆ 空蝉や 脱ぎっぱなし 置きっぱなし (伊丹市 藤戸 恵美子)
☆ 空高く ドクターヘリで 運ばるる 吾が身に響く エンジンの音 (八戸市 山村 陽一)
☆ サングラス 悲喜こもごもを 撥ね返す (仙台市 柿坂 伸子)
☆ 天気図の 「湿舌」というは なにがなし なまめかしくて なまぐさくてよし (堺市 高橋 貞雄)
☆ さくらんぼの ごとく一票 投じけり (新発田市 宮下 丈夫)
☆ 殺すなと 言うあり 殺せと 言うありて 草食む牛を テレビは映す (赤穂市 堀 百合子)
☆ 蝉鳴くや 地球の病んで ゐようとも (市原市 鈴木 南子)
☆ いちばんに 大事な君を 失って 見ている 夏の終わりの花火 (京都市 敷田 八千代)
☆ ユリシーズ 読んでは食べる 黒葡萄 (松戸市 大谷 昌弘)
☆ 命ある ものにあらねど 命ある あるものと思える はやぶさ帰還 (野洲市 松山 武)
☆ 水上を 氷上のごと あめんぼう (久留米市 田中 淳也)
☆ 「てつぼうが できますように」 短冊を 八月七日まで 飾りおく (高槻市 有田 里絵)
☆ 太陽が いっぱい 梅干しが いっぱい (栃木県壬生町 あらゐ ひとし)
☆ 本当に 時間はあるの? さわれるの? めぐる円環? 永遠の直線? (八尾市 水野 一也)
☆ 雲の峰 とて風の威に 逆らえず (玉野市 勝村 博)
☆ アマリリス 花の貌は 城山に 空襲告げゐし 警報器に似て (堺市 鳳 みさお)
☆ 水落ちる 音に身を置き 暑気払ふ (芦屋市 田中 節夫)
☆ 砂時計 よこに寝かして ∞ 過去と未来を シェイクしてみる (生駒市 笹川 裕史)
☆ 風鈴を 吊りて 日本の風となる (我孫子市 新條 美和)
☆ 今はもう 種蒔きのない 牧草畑 牛なきあとは ぽつんと空白 (宮崎県 落合 洋子)
☆ 雲の峰 空塗り変へて しまひけり (玉野市 勝村 博)
☆ レンブラントの 「夜警」の隅に 片目しか 描かれなかった 一人の男 (坂戸市 山崎 波浪)
☆ 立ち止まる ことが休憩 若葉道 (八尾市 河村 良太郎)
☆ 猪が 校庭を歩く 山間の 分教場は いま百合の中 (東京都 太田 良作)
☆ わが妻は 魔女かすぐ出る 冷奴 (柏市 藤嶋 務)
☆ 洗われる ペリカン映し 鳥類の 六割はDEADと 締めくくるアナ (アメリカ 西岡 徳江)
☆ 滝壺に 落ちては碧き 水となる (高松市 島谷 碩洲)
☆ ヤマボウシ ひっそりと咲く 湯の里に 媼が作る 栃餅旨し (横須賀市 矢田 紀子)