詩と写真のコラボレーション (2009 June)
☆ 送られし 新茶の筒の 光りをり (川口市 牧野 文子)
☆ 風媒の 桃花は ももいろの風に 抱かれ ふふとちさき 実むすぶ (福島市 美原 凍子)
☆ 白地着て 女の意地を 通しけり (泉大津市 多田羅 初美)
☆ 朝二つ 夕方七つ あやめ咲く こい紫の きれいな色です (横浜市 高橋 理沙子)
☆ 美女の名に やや飽きもして 薔薇巡る (吹田市 小井川 和子)
☆ つやつやと 梅の実みどりに 発光し 向かいの山に 時鳥啼く (西予市 大和田 澄男)
☆ 口中で 皮が破れて さくらんぼ (東京都 藤森 壮吉)
☆ 放生会 どぢやう放して お経あげ 鰻を食べに バスにて発てり (日進市 山本 佳子)
☆ 紫陽花の 色より風の 晴れてきし (立川市 越智 麦州)
☆ 帆を張りて 練習船の 碇泊りたる 長崎港に 光あふるる (長崎市 青木 英夫)
☆ 翡翠に 殺気みなぎり 急降下 (武蔵野市 相坂 康)
☆ たそがれの中の あの子 どこかで会った 上野で見かけた 阿修羅だろうか (東京都 市野 真佑子)
☆ 薔薇園に 世界の薔薇の 集合す (松山市 多田 美江子)
☆ 「どうしたの」 ふいにやさしく 言われたら ほどけてしまう 表面張力 (新潟市 太田 千鶴子)
☆ 青葡萄 ひとの手知らぬ 乳房かな (東京都 積田 太郎)
☆ つつじという 漢字はとても 書けません 夕闇深く 白い花むら (富士見市 高橋 美代子)
☆ 箱庭や 毎日変へる 石の位置 (野田市 塩野谷 慎吾)
☆ 歌あまた 詠みし人の名 今はなき 能登の輪島の 海静もりて (沼田市 穂積 とも子)
☆ しばらくは 薔薇の心と なる日かな (福山市 廣本 貢一)
☆ 一億年前の 地層の 露頭にぞ 鹿も食わざる 鈴蘭の花 (伊那市 小林 勝幸)
☆ 天辺は 女の児なり さくらんぼ (宍粟市 高路 ひろみ)
☆ 夢を見て 目覚めて 夢でよかったと 思える夢の この頃多し (奥州市 大松澤 武哉)
☆ 噴水の 届かざる空 見上げけり (茨木市 瀬戸 順治)
☆ わかってること わかってないことと わかりたくない ことがあります (札幌市 多田 礼子)
☆ 人麿忌 謎多ければ 説多し (熊本市 あまの 樹懶)
☆ 音楽の まえには誰か 弾いている ねこふんじゃった ねこふんじゃった (神戸市 寺内 みのり)
☆ 今日の風 みな新しく シャガの花 (千葉市 松本 好勝)
☆ 初の日に 父母を訪えば 温かき 静けさのなか 揃いうたた寝 (横浜市 大須賀 理佳)
☆ 満天星や ああああああと 虫を呼ぶ (富士見市 新藤 征夫)
☆ 仏像は 数多悩みを 聞きおれど 秘して漏らさぬ 個人情報 (白井市 毘舎利 道弘)