詩と写真のコラボレーション (2009 July)









☆ 桃の実に 生まれて ももになれない実 摘果は黙々として なされいる        (福島市 美原 凍子)










 ☆ 金色に 揺れ 銀色に滴りぬ        (立川市 日置 正樹)










☆ 四寸の 体全体のどにして 天にむかって ホオジロは鳴く        (山口市 平田 敬子)



















☆ 紫陽花や ピエロに笑ふ 人盛り
        (松阪市 奥  俊)




















☆ 広報板の 鳩山由紀夫は 笑ってをらぬ われ立ち止まり まず水を飲む        (西条市 亀井 克礼)










 ☆ ごろごろと 青き音立て 梅洗ふ        (草津市 井上 次雄)










☆ D51の くろがね匂う 梅雨晴れ間 六甲を背に カメラ構える        (神戸市 内藤 三男)



















☆ 合歓の花 まだ白きまま 風にゆれ
        (今治市 山本 芳子)




















☆ 「一度だけ 目が開くなら お母さんの 顔が見たい」と ピアノ弾ききて        (岡山市 梶谷 甚一)










 ☆ 南国の 枇杷の便りの 届きけり        (高岡市 杉本 透)










☆ 花の名を ひとつ覚えて 人の名を ひとり忘れて ゆうやけの中        (東大阪市 平岡 章子)



















☆ 太陽の 直下にありて 七変化
        (芦屋市 田中 節夫)




















☆ 実の先に 黄色いリボンのような花 きゅうりは咲かせ 少女めくなり        (城陽市 山仲 勉)










 ☆ これ程の 菖蒲田めぐる 至福かな        (福岡県 徳永 スキ子)










☆ 宇治には 三室戸という 寺があり うすむらさきの 花の初夏あり        (城陽市 下岡 昌美)



















☆ 深からぬ 森を深めて ほととぎす
        (柏原市 早川 水鳥)




















☆ 睡蓮の 日々咲く甕を まほろばと 蛙は棲み継ぐ 三十余年        (岐阜県 棚橋 久子)










 ☆ 草は伸び 蛍袋は 俯ける        (松原市 加藤 あや)










☆ 白鳥が 水浴びるごと 噴水は 降りしきる雨を 受けてはばたく        (沼津市 森田 小夜子)



















☆ 子に梅酒 送れば酔句 返りけり
        (彦根市 阿知波 裕子)




















☆ 一週に 二首の投稿 心懸け 雨恋うて咲く あぢさい三球        (ホームレス 公田 耕一)










 ☆ 噴水の 水百条に 驚きぬ        (広島市 佐保 光俊)










☆ 滑らかに 堰を越えゆく 水のそば 閻浮壇金(エンブダコン)を こぼす山吹        (福岡市 大西 隼人)



















☆ 芍薬の蕾 かんしゃく玉のごと
        (高萩市 小林 紀彦)

















☆ KATIEとう 仔猫が 仔猫(ベビー)を産んだと いう情報が忽ち 所内に伝わる         (アメリカ 郷 隼人)










 ☆ 父の日の 花向日葵と 決めにけり        (大村市 小谷 一夫)










☆ 立葵 いつもの角に 咲き始む 去年のように おととしのように        (東京都 志摩 華子)
























☆ 江ノ電の どこかの駅の 蛇いちご
        (平塚市 日下 光代)




















☆ 薬局は 在庫なきこと 顎で言う インフルエンザの マスク品切れ        (奈良市 立花 博子)










 ☆ 歩を移すことを 惜しみつ 薔薇の園        (横浜市 渡辺 萩風)










☆ 誕生の日も そののちの 死のときも マリアはイエスを 呆然と抱く        (武蔵野市 野口 由梨)